「アリアネ」と私を呼んで、頭を優しく撫でていた。「アリアネ、もう起きる時間ですよ」と言われた時に、私は目覚めた。
私を呼んでいた声も、頭を撫でていた手も近くに立っていたカエール侯爵のものだった。侯爵は眠った後、私はテーブルに座り、本を読み始めたが、いつの間にか寝てしまった。
「侯爵、横になった方がいいです」と驚いて、立ち上がった私だった。
「この位のことは大丈夫ですよ」とまだ疲れた顔で、侯爵は微笑む。そしてテーブルに座る。「今週、田舎にあるワタシのもう一つの屋敷で過ごそうと思っていますが、一緒に来てもらえますか」
「しかし移動はよくないと思います」
「医者の許可もありますから。それにこの状態で人とあまり会いたくないのですね」と私は初めて侯爵の誇り高い一面を見た。
「侯爵は行くのなら、もちろん私も行きます」
田舎の屋敷は馬車で一日くらい都から離れていた。私たち着いたのは日が沈んでいる時刻だった。
ドアのところに、もう80歳過ぎているおばあさんがいた。
「カエール坊ちゃん、お久しぶりです」と満面の笑顔で言う。
「お久しぶり。元気だった?」
「もちろんです。・・・顔色悪いですね」
「体調が・・・」と気まずそうに侯爵は言う。
「だめじゃないですか、無理して」と怒っているようにおばあさんが言う。
「一週間、世話になるからね」と侯爵は笑い、家に入った。
「アリアネです」とおばあさんと目を合わせた時に、私は言った。
「カエール坊ちゃんの友達ですか」
「いいえ、護衛兵です」
おばあちゃんは悲しい笑顔を見せた。
「じゃ、暖かいものでも作りましょう」と言いながら、家に入った。
都にある屋敷より、この屋敷は一階だけあって、かなりシンプルな感じがした。
つづく
ランキングに参加しているので、クリックお願いします
人気ブログランキングへ