物語30 | Thinelの世界

Thinelの世界

私の描く世界へようこそ


   ジェアン伯爵は返事を書くより、私と一緒にカエール侯爵の屋敷に行くことにした。
   「久しぶり、カエール」
   「久しぶり、ジェアン」
   「社交界の場以外では最近なかなか会えないね」 
   「最近仕事が忙しくて、なかなか時間作れない。どうぞ、座って」と侯爵は言う。
   「今気づいたが、顔腫れてるけど、喧嘩か」
   侯爵は気まずそうに
   「いいえ、女性を怒らせた結果だ」
   「カエールに手をあげる女性って」と驚いているジェアン伯爵だった。
   「アリアネは怖いもの知らずだから・・・」
   ジェアン伯爵は二人を見守っている私を見て、笑った。
   「付き合ってると思っていたけど」
   「いいえ。アリアネは護衛兵の仕事に夢中なので・・・」
   「珍しいね」
   カエール侯爵は苦笑いをした。
   「仕事の調子はどう?」と侯爵は話題を変える。
   「大変だけど、事務の仕事がかなり好きだから、なんとかなっている」
   「それはよかった。自分の会社をを始めたジェアンは羨ましい」
   「父親の力を借りず、准将軍になったカエールは何を言っている。その上、侯爵の爵位まで手に入れているし」
   カエール侯爵はだた微笑んだ。
   「今日あまり長くできないから、本番に入るけど。頼まれた書類だ」とジェアン伯爵は書類を渡していた「やはり、カエールの思った通り、ジャン将軍個人に王からの援助があるようだ。そしてカエールが南に行っていた間にジャン将軍はドノヴァン将軍の屋敷に数回訪れた」
   「父上を自分の味方にしたいだろうなぁ」
   「そういえば、カエールの軍隊は東国との最初の戦いから外れたんだね」
   「ああ」
   「残念だというべきかなぁ?」
   「なんで?負けた後のジャン将軍の顔を見たいじゃないか」
   「負けるなのかなぁ」
   「負けるさ。カルロ将軍はその戦にでるから」
   二人は意味ありげに笑った。
   「私は話よく分かりませんが、我が軍が負けることによって国にとっていいことはないでしょう」
   「カエール、まだアリアネに細かいことを説明していないか」
   「まだ知る時期じゃないと思って。簡単に言いますと、アリアネ、今の王がやっていることに対して色んな人は疑問を抱くことになります。ワタシとワタシの仲間は一番起きて欲しいことです」
   「その仲間にファオラン隊長も入っていますし・・・」
   「まぁいずれその話ちゃんとしますから。今はワタシの頼んだことをしてくれれば十分です」
   「カエール、これで失礼する。では何かあったら、連絡する」
   「分かった。ワタシの馬車を使っていいから」
   「ありがとう。では、レディーアリアネ」
   「ではジェアン伯爵」

   伯爵が帰るなり、カエール侯爵は私に言った
   「ジェアンと気が合いますね、アリアネ」
   「嫉妬ですか、侯爵」
   「妬けると舞踏会の時も言ったはずです。アリアネの決意を尊重していますが、それは決してワタシの意志と同じではありません。今はいい子にしていますが、疲れる日が必ず来るのでしょう」と侯爵は私を見つめていた。
  
                                            つづく

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