カエール侯爵の予定通り、三日のうちに敵を倒し、作戦を成功した。
今夜我が軍の勝利を祝うために、村人と軍人は一緒に飲んでいる。隊長たちが集まっている所に行ったら、ファオラン隊長とカエール侯爵はいなかった。探しに歩いていたら、人のあまり居ない場所で焚き火をおこし、二人は一緒にワインを飲んでいる。
「ここに座ってもいいですか」と私は。
「アリアネ」といつもの軽い調子の侯爵「ここワインしかないよ」
「どうぞ、どうぞ」とファオラン隊長は言う。
私はファオラン隊長の隣に座った。少し立つと私は父上の肩に寄りかかって、目を閉じた。
「アリアネと何かありましたか、カエール侯爵」とファオラン隊長は聞く。
「色々」
「やっぱり」と父上は確信していた声で言う。
「止めたりはしませんか」
「今のところは何もしません」
「ワタシはどんな男か知っているでしょう。泣かしたら、知りませんよ」
「アリアネの意思なら、今のところ何もしませんし、言うつもりもありません。結婚の時期までは」
「結婚させるつもりですか、ファオラン隊長?」
「一応ですね。でも軍人として生きていきたいと言われたら、無理にさせません」
「結婚させた方がいですよ」
「侯爵はしないでしょう」
「したくはないのですが、せざるを得ない時は来るでしょう。貴族としての自分の立場を忘れるわけにはいきません」
ファオラン隊長は笑った
「そんな嫌な顔しなくても」
「アリアネをまたワタシと一緒に連れていくつもりですが、いいですか、ファオラン隊長」
「断る理由もありません」
「可愛い娘に手を出したことは充分な理由だと思いますが・・・」
「アリアネは侯爵、というよりヴェンドメ准将軍と覚えることがたくさんあります」
「良くないことまで教えてしまうかもしれませんよ」
二人笑った。
「ヴェンドメ准将軍!」
「はい。何でしょう、ポー隊長」
私はその時、起き上がった。
「剣を」とポー隊長は言い終わる前に
「分かりました。やりましょう」
「ヴェンドメ准将軍、やめた方がいいのでは?」
「しかしポー隊長に認めてもらわないと・・・」
「しかし立場上そのようなことをしない方がいいと思います」
カエール侯爵はファオラン隊長の肩に手を置いた
「でも自分の下にいる兵の信頼の方が大事です」と。それとポー隊長に「今日最初で最後です。父上に知られたら、色々面倒ですから」
「ありがとうございます」
もう立ち向かっている二人
「ワタシ、負けてもいいですか、ポー隊長。そうすれば面倒なものも少なくなりますから」と微笑みながら言う、両手で重そうに剣を持つカエール侯爵だった。
「おれを敵だと思って、本気で戦って欲しいです」
「そうしたら命のやりとりになるじゃありませんか」
侯爵はポー隊長と話している間に、人が集まってきた。
「分かった」
ポー隊長は私より強ようそうなので、侯爵が負けると思った。しかしポー隊長の動きに困難なく応えている、というよりポー隊長の動きを勉強していると言える位侯爵、イヤ、ヴェンドメ准将軍は余裕だった。見物もう疲れた時に、ポー隊長の剣は遠く飛んだ。
ポー隊長が一礼をした。
「強い上司にこだわるより、頭のいい上司に従った方がいい、ポー隊長。強い人は自分の力に過信を持ち、戦場で犠牲を増やすばかり。頭のいい人の方が犠牲が少ないように、いい戦略を立てる。ジャン将軍はワタシよりずっと強いが、君の下にいた兵がこの一年間何人死んだのだろう」
ポー隊長は深々に一礼をした
「今日のことはあまり口外しないで欲しい。明日の朝ワタシは出発するので、これで失礼する」
兵たちは全員頭を下げていた。この三日間、軽い傷を負えた者三人、死人一人もいない。
つづく
ランキングに参加しているので、クリックお願いします
人気ブログランキングへ