「もう遊びをやめる年かなぁ、ワタシは」と冗談に乗るカエール侯爵。
面談の時間を変える理由としては、カエール侯爵が朝方まで女と遊んでいたから、面談に間に合いそうにないのでと執事からの手紙は将軍の手まで届いたようだ。将軍は全く気にしていない様子で、カエール侯爵と冗談のやり取りをしているところ。
「結婚を考える時期じゃないか」と将軍は。
「その言葉、ワタシの前で言わないでくれ」と上司ではなく、友達と話してるような口調で侯爵は。
「ハハハハハ」と将軍は笑う「何そんなに怖がっているのか」
「ワタシに一人の女性だけ選ぶなんて、とても無理」
「ハハハハ」
部屋の奥に立っていた私には将軍と准将軍の面談に見えない、このくだらない会話のやり取り。
「で、奥で難しい顔してる娘って誰?」と将軍は聞く
「ワタシの部下、アリアネという。南から帰った時に一緒に連れてきた」
「ふ~ん。護衛兵ってところか」
「そんな感じ。前に将軍に言われたし」
「でもなんで女?」
「やはり、ワタシとしては側におくなら、女性が欲しい」と嫌らしい笑顔を見せる侯爵
「ハハハハ。腕は確かなのか」
「最近剣を教えてもらってる位だよ」
「ヴェンドメ准将軍に剣を教えている?逆のでは?」
「いいえ、ワタシは剣を上手に使えないので、アリアネは色々教えてるよ」
「この将軍でさえ勝てなかったヴェンドメ准将軍に?」と将軍は私の方を見た「娘、この男の言うことにあまり信じない方いい。戦略と剣だけを信じろ。その時だけコイツは本性見せるから」
「覚えておきます」と私は。
「ひどい、将軍。ワタシはただの女遊び好きの貴族の息子なのに・・・」
「表ではね」
侯爵は意味のありげに笑う
「じゃ、本番に入るか、准将軍?」
「次の戦を負けましょう、将軍」とカエール侯爵は真面目に言う
「負ける?」
「東に行っても、長い戦争しか待っていません。長い戦争となれば、我が軍は必ず負ける。正直東国の将軍と戦いたくありません」
「東国の将軍は確かお前の親友・・・親友と戦いたくないってこと?」
「いいえ。ヴェンドメ准将軍として勝つ自信ありません。あの男は相当の切れ者です。我が軍はそのような敵と張り合う力まだありません」
「それを他の将軍と王に言えばいいじゃないか、負けるより?」
「ジャン将軍はワタシの言うことを聞きはしません。王は完全にジャン将軍の味方ですし。父上はワタシの味方もジャン将軍の味方もしません。中立な立場を保とうとしていますから。しかしワタシが負ければ、父上は耳を傾いてくれると思います。それに負けからジャン将軍が目を背けることができません」
「しかし負けるとは・・・」
「犠牲が少なければ、負けも勝ちも同じことです」
将軍はまだ迷っていた
「戦で勝つ心配より、我が国の心配をしてください、将軍。長い戦争は王室での討論を起こし、王は弱くなる。そうしたら王子が強くなる。それを避けたいでしょう」
「避けたいが、一人でそのような結論出せない。明日ドノヴァン将軍とジャン将軍を呼ぶから、その時お前は改めて自分の考えを述べろ」
「ワタシは来ません。将軍に任せます。父上の立場の問題もありますから。ワタシのいる場でワタシに賛成したら、ジャン将軍はうるさいだろうし」
「わかった。話し合いの後、お前の所に手紙を送るから」
「わかりました。では、失礼する」
「ああ。では。・・・娘、その男と気をつけろ!」と笑いながら、将軍は言っていた。
帰りの馬車で
「将軍はなかなかカエール侯爵の言うことを聞いてくれませんでしたね」
「それでいい」
「はい?」
「それでいい。ワタシは王の味方をしているわけでもないし・・・」
つづく