地球に舞い降りたドラマたち -9ページ目

地球に舞い降りたドラマたち

ボクが感じたものがたりを載せていきます。

つつじです。



私は、いつも山のつつじに憧れていました。


だって、
山に咲けば、綺麗な空気の中で、
咲けるもの。


それに比べて、私は道路の端。


あるのは排気ガス。


山のつつじに比べたら、
もう惨めで、苦しい。


だれも、
私を見てくれない。


春先に、華を咲かせれば、
最初は、みんな見てくれる。


だけど、最初だけ。


すぐに相手にされなくなる。
こんな端に咲いているから。


もう、こんなところで、
華なんて咲かせたくない。
と思う毎日でした。


だけど、ある日、


一匹のハチがやってきて、
おいしそうに、私の蜜を吸います。


彼に聞きました。


「どうしてこんな私の蜜を吸うの?」

「排気ガスに汚れた、
汚い蜜を、そんなおいしそうに。」


「山に咲くつつじの蜜は、
おいしいよ。

そっちのほうがいいんじゃない?」


その質問に、ハチは答えませんでした。


毎日、毎日、


そのハチは、蜜を吸いにきました。


「山に行けばいいのに

私のせいで、こんなところに居させて、

ほんとごめんね。」


「私のせいで、あなたは人間や鳥に殺されそうになったり。」


「早く、枯れたい。」


私が、小さく嘆くと、
初めて、そのハチは話しました。



『そんなこと言うなよ。』



『ボクは、たくさんの花の蜜を吸ってきた。

どれもどれもおいしい蜜だった。』


『だけど、キミを見て、初めておいしい蜜じゃなく、
花の美しさに気付いたんだ。』


『世の中には、運が悪いハチがいる。
運が悪いハチが気付いているのは、
蜜のおいしさだけなんだ。

花の美しさなんかには、ちっとも気付かない。』


『それに比べたらさ、ボクは運がいい!
こうやって花の美しさに気付いて、
その花の蜜を吸えているんだもん。
ボクは幸せハチだ。』


『だから、ボクに花の美しさを気付かせてくれたキミが、
枯れたいなんて言わないで。』



オスのミツバチって、
ほんとは蜜を吸いにこないんです。

ほとんどが、メスバチ。

なのに、それからも、
彼は毎日、毎日、
私の蜜を吸いに来てくれました。


ふふっ♪あ、思い出し笑いです。
ごめんなさい。

彼はダンスが得意で、
いつも8の字ダンスを見せてくれました。

そのときの、お尻がかわいいの♪♪


だけど、いつも喜びや悲しみって、
突然やってきます。



人間が、私を摘み取ろうとしたとき、
ハチは私を必死に守ってくれました。


最後の最後に、
その人間を刺してしまったんです。


ミツバチって、
針を刺すと、一緒にお尻も取れて、
死んでしまうんです。

お尻が取れたハチは、
花びらの中で、横になりました。


『いいさぁ。

ボクは、なんの後悔もしていない。

知っている?

日本人の間じゃ、数字の1つをハチっていうらしいんだ。

その8っていう字を、

横にすると、∞っていう形になるだろ?

それって永遠っていう意味らしいんだぁ。


ボクは今、君のなかで、
横になった。

だから、永遠なんだ。

キミの中で、永遠になれるなんて、
幸せものだね。


世界中のハチを見たって、
こんな幸せなハチはいない。


いつまでも、
キミとの思い出が、永遠でありますように。』


そう言って、彼は眠りました。


今、私は精一杯に華を咲かせています。


もう山のつつじには、
憧れない。

だって、私は彼が愛したつつじですもの。

いつまでも、生まれた場所を嫌わない。

だって、生まれた場所を嫌ったって、
何も変わらない。

それにこの場所は、
彼が愛したつつじが咲いた場所ですもの。


本当は、華を咲かせようと思えば、
どこでも咲かせれる。


場所なんて関係ない。


だって、どこの場所にいたって、
ドラマは毎日、起きているのですもの。


私は、満開のつつじになってみせる!