地球に舞い降りたドラマたち -8ページ目

地球に舞い降りたドラマたち

ボクが感じたものがたりを載せていきます。

みなさん、こんにちは。


私は、高知県に住んでいる、


ニワトリです。


今は、揺れるトラックの中にいます。


私たちには、必ず来る日があります。
それはトラックに乗せられて、
どこかに行く日です。


それを私たちは、
運命の日と言っています。


きっと、トラックが止まるまで、
時間があるようですし、もしよければ暇つぶしに、
私の話なんて聴いていただけませんか?


私には、夢があります。
それは空を飛ぶことです。


私がまだ、黄色いヒヨコの頃の話です。


他のヒヨコたちに、毎日いじめられて、
ピヨピヨ泣いていました。


だから、目を合わせるのが怖くて、
いつも下を向いて歩いていました。


生まれてこなきゃ良かった。
いつものようにそう思った瞬間、
急に空が暗くなりました。


ふと上を見ると、ツバメが気持ちよさそうに、
空を飛んでいたんです。


「何を泣いているんだい?」


『いじめられているんですピヨ。』


「なんだ?そんなことか!」


『そんなことって、ひどいじゃないですかピヨ!』


「世界は広い。見てごらん。」


世界中には、数え切れないくらいの、
ヒヨコがいるんだよ。


その中には、キミのように、
いじめられているヒヨコもいる。


だけど、そのいじめられているヒヨコたちが、
みんな、みじめかって言ったら、そうじゃない。


みじめだと思っているのは、
他人じゃない。自分なんだ。


どんなに辛くても、
いじけたり、自分をみじめに思っちゃいけない。


そんなことをしたら、
自分すら、自分をいじめてしまうことになるからね。」


『……。』


「キミは、夢を持っているかい?」


『夢ってなんですかピヨ。』


「自分のやりたいことさ!」


『自分のやりたいことですかピヨ。』


「何かあるかい?」


『もし、できるなら、
一度でもいいから、あなたのように、
空を飛んで、雲の上を見てみたい!……。


って、無理に決まっていますよねピヨ。笑』


「無理じゃない!」


『なんでですかピヨ?』


「ボクだって、最初は飛べないツバメさ。

だけど、飛べるツバメになるために練習をしたんだ。

練習をしないでいると、
きっと、いつまでも飛べないツバメだったろうさ。」


「夢の一番の敵は、やらないうちから、
無理と決めて、やらないことさ。」


『もし、運命の日まで努力したのに、
夢が実現できなかったら、後悔しますピヨ。』


「後悔なんて、ただ後で悔しがっているだけさ。」


「だから、後悔をするかしないかは、
キミしだいさ。」


バサッ!!


そういうと、つばめはサッと
飛び去ってしまいました。


心を熱く揺さぶられるというのは、
こういうことなんでしょう。


あのツバメとの出逢いは、
私にとって運命の出逢いでした。


それから私は、
毎日、羽ばたきました。


そんな私を見て、まわりのヒヨコたちは笑います。


でも、いいんです。


いつか空を飛んで、
みんなを驚かせてやればいいんです。


雨の日も、風の日も羽ばたきました。


気がついたら、毛が黄色から白色に変わり、
立派なトサカができる歳になりました。


こないだ、息子とこんな会話をしました。


「どうしてお父さんは、
毎日、羽をはばたかせているのピヨ?」


『それはお父さんには、夢があるからさ。』


「夢ってなにピヨ?」


『それはやってみたいことさ。』


「お父さんの夢ってなにピヨ?」


『お父さんの夢はね、
いつか雲の上を見ることなんだ。』


「ふーん。ピヨ!』


ひよこは、次の日、
私の夢のことを、他のひよこたちに話したら、
笑われてしまったらしいんです。


「運命の日が来るボクたちが、
夢なんかを持っちゃいけないって言われたピヨ。」


『そんなことないさ。あの滅びた恐竜ですら、

空を飛びたい!

と強く思ったからこそ、硬いうろこが伸びて、
翼になって空を飛んだんだよ。』


『夢の一番の敵は、やらないうちから、
無理と決めつけて、やらないことさ。」


「……。ピヨ。」


ツバメと出逢ってから、毎日、羽ばたきましたが、
ついに10メートルを超えませんでした。


実は、私たち、この運命の日に、
どんなことが起きるのかを知っているんです。


正直言うと、怖いです。


とても。


空を飛べなかったこと、


正直言うと、悲しいです!!


悲しいけど、悔しくはありません。


だって、ここまで頑張れたんですもの。


ここまで頑張った、自分を褒めてやりたい。


ここまで、ほんとよくやったね。


そして、ごめんね。
意地を貫いたせいで、辛い思いをさせてしまったね。


そして、よく頑張ってくれたね。


ありがとう。


無事に運命の日まで、
挑戦し続けれたんだ、何の後悔もないさ。


お疲れ様。


さぁ、これからはゆっくりとしよう。


あ、トラックが止まったようです。


みなさん、私の長い話に付き合っていただいて、
本当にありがとうございます。



さようなら。



工場で、ニワトリたちは、
つるされます。



「うぉー、死にたくない!!」

「頭に血が上る!!」

「おまえ、うるさいぞ!
運命からは逃げられないんだよ!!」

「おかぁーさぁーん!!」

「さようなら。ヒヨコよ。大空よ。」



シュ、シュ、シュ。



ん?体が軽い。


おお!まるで。
大空を飛んでいるようだ。


これなら、雲の上にいけるかもしれないな。


そうか、雲の上は、
こんなところなんのか!!


あぁ、気持ちいい。綺麗だなぁ。


私の体は、
今、どうなっているんだろう?


人間が、おいしく食べてくれているだろうか?


お!スーパーに並べられている。


あぁ、あっちでは、
ゴミとして捨てられたかぁ。


おぉ、家族みんなで食べている。
おいしいねって言ってくれている。


ひよこは、今頃、
どうしているだろうか?


元気だろうか?


泣いていないだろうか?


ん?


あれは。


あの子ったら。


おやどりの目に映ったのは、


何度も、何度も、
空に向かって、翼を大きく羽ばたかせては、
転んでいるヒヨコでした。