こんにちは。
戦争関連シリーズと言う訳ではありませんが
先日、録画して観ていなかった映画「野火」を観ました。
「野火」は大岡昇平の小説が原作となっており、僕は17歳の時に読んでいます。
読むキッカケになったのは、この年1981年に起こったパリ人肉事件。
日本人の佐川一政氏がオランダ人の女性を殺害して屍姦したあと食べたというショッキングな事件。
ちょうどその頃の僕は人間とは?みたいなテーマを探りつつ、自我の確立を目指していました。
そんな矢先に起こった事件をマスコミは煽る様に報道する中
人間が人間を食べるという事は何なのか、そんな疑問から読んだ本の1冊でした。
舞台は太平洋戦争末期のフィリピン。
敗戦の色が濃くなる中、日本軍兵士は飢餓と疫病に苦しみながら米軍の攻撃によって壊滅状態。
そんな状況で主人公・田村は肺病を患いながらジャングルを迷走します。
ストーリーは詳しく書く事を止めておきますが、実際、この様に太平洋戦争における
日本軍兵士のほとんどは飢餓と疫病によって命を落としていた事実が描かれています。
また、今回観たのは2015年の塚本晋也監督リメイク版。
1951年の市川崑監督版も以前に観ていますが、戦闘シーンなどは「鉄男」など
独特の映像美を持つ塚本監督ならではの表現で、あまり気持ちの良いものではありません。
しかし塚本監督は、この映画の構想に20年を費やし、スポンサーが現れず、自分で演じ、
自分でカメラを回し、編集するという情熱を持って創作した映画です。
映画が公開されたのが2015年、つまり戦後70年。
塚本監督がどんな思いでこの映画を完成させたのか
何のために公開したのか
本人に聞いた訳ではありませんが、興味深く考えてしまいます。