80年代の洋楽を語る際に外せないのがMTVです。
MTVは、ネットのない時代に世界が一つに繋がる初のコンテンツだったんです。
"money for nothing - Dire Straits(Full)" Photo by davidcallidae
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日本でも週に3、4日は夜中から朝方までMTV関連の番組が流れていましたから、部活中や授業中眠い眠い。
ブラウン管から名作MVが流れまくりでしたが、今回はその一つ、ダイアー・ストレイツの「Money For Nothing」(1985年)をご紹介します。
ダイアー・ストレイツはイギリスのバンドですが、骨太の正統派ロックバンドという感じでした。
日和らないスタンスが格好よかったなぁ。
「Money For Nothing」は、ダイアー・ストレイツ最大のヒットですね。
グラミー賞等、賞レースを席巻しました。
とにかくMVがインパクトあった。当時としては最新技術の3DCGを使ってます。
今観るとレゴブロックみたいで、まだまだ稚拙な感じですが、当時は「凄い技術だ!」とビックリ。
先週の「ベストヒットUSA」で小林克也さんが「Money For Nothing」の興味深いエピソードを語ってみえました。
以下ご紹介します。
80年代に入り、ダイアー・ストレイツは本国イギリスでは有名になりましたが、アメリカではまだ無名。
そこでヴォーカル&ギターのマーク・ノップラーが、MTVの人間にどうしたらよいか聞いてみた。
そしたら「そりゃヒット曲を出すことだよ。で、ヒット曲が出来たらMVを有名な監督に頼むといいよ」。
ある日マーク・ノップラーがデパートに出掛けた際、電化製品売り場のテレビでMTVが映っていた。
それを店員が観ながら、ミュージシャンへの愚痴 や悪口をしていたそうです。
「MTVでギター弾いて、あれが労働かよ?なにもしないで丸儲け(Money For Nothing)じゃないか?それで女にも不自由しないなんて。こんなの仕事じゃない。それに引き換え、俺たちなんて電子レンジや冷蔵庫運んだり…」。
マーク・ノップラーは、店員達の会話をメモ(大卒後、ヨークシャーの新聞記者をしていたマーク・ノップラー。昔取った杵柄か)。
で、帰宅して「こいつは曲になる!」と作ったのが「Money For Nothing」。
で、MTVの人間のアドバイス通り、MVを「ビリー・ジーン」や「テイク・オン・ミー」のビデオで有名なスティーブ・バロンに監督を依頼。
「Money For Nothing」は、MTVビデオミュージックアワードで大賞も獲得してます。
克也さんのお話は貴重で興味深いですね。
確かに歌詞は電化製品売り場の下世話な会話です。
でも、ミュージシャンへのやっかみとか批判でもある内容をクールな歌にしちゃうのは、マーク・ノップラーの才能ですね。
風刺や自虐っぽいし。
そもそも、ダイアー・ストレイツ dire straight(s)というバンド名の由来が「万年金欠状態」ですからね。
でも、音楽で当てれば電化製品が備え付けの豪邸に住めるよ、という。
「Money For Nothing なんにもしないで丸儲け」に見えるかも知れないけど、本当はたいへんなんだぞ、というのもあったのかな?
MVはバンドメンバーにアニメで蛍光色を重ねる辺り、いかにも80年代のMVっぽくて良いですね。
スティングが歌う「I want my MTV~♪」から始まり、イントロからのマーク・ノップラーによる中毒性の高いギターリフ。
曲の構成からマーク・ノップラーのちょっと気怠そうな歌声まで何から何までカッコいい「Money For Nothing」なんです。
ダイアー・ストレイツはこの年ライヴエイドにも出演、スティングと「Money For Nothing」をプレイしていますよ。