5月25日に66歳になり、ニューアルバムもリリースしたポール・ウェラー。
ポール・ウェラーと言えば80年代洋楽を愛する自分としてはやはりスタイル・カウンシルですね。
イギリスの階級闘争は60年代から活発になり、労働者階級の反抗精神は音楽でも様々なムーブメントを生みます。
労働者階級初のスター、ビートルズ解散後の70年代は、パンク、モッズなど新しい音楽が生まれて流行しました。
ミュージシャンが若者達の声を代弁したんですね。
70年代にポール・ウェラーはTHE JAMを結成。
モッズ自体が労働者階級のライフスタイルですけど、ポール・ウェラーには「モッド・ファーザー」という異名があります。
音楽に留まらない何かや、カリスマ性なんかがポール・ウェラーにはありますね。
で、80年代に入ると、ポール・ウェラーは売れているのに、自分がやりたい音楽はジャムでは出来ない、とバンドを解散。
で、ポール・ウェラーがやりたい音楽をするためにオルガニストのミック・タルボットと組んだユニット、それがスタイル・カウンシル。
ジャズやブラックミュージック、 ニューウェイブをミックスしたオリジナルでオシャレな楽曲で知られています。
彼らのスタイリッシュな着こなしが真似されたり、そのシャレオツな音楽は後に日本の渋谷系にも影響を与えたとか。
ポール・ウェラーは現在ソロで活動していますが、音楽に対する構え方はずっと変わらないんですね。
先日の「ベストヒットUSA」で小林克也さんも、ポール・ウェラーはずっと変わらない生き方をしている、と評価されていました。
イギリス人は売れると訛を直して喋る人が多いけど、ポール・ウェラーはずっと訛ったままの喋りなんだ、と。
この辺、小林克也さんらしい視点ですね。
"Paul Weller 10" Photo by Mark Kent
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さて、1984年リリースのシングル「Shout To The Top!」は、昔日本のテレビ番組で使用されていたので、日本では1番有名なスタイル・カウンシルの曲かも知れませんね。
「Shout To The Top!」も爽やかでドライブ感溢れる楽曲ですけど、やはりそこはポール・ウェラー。
リリックは労働者階級の怒りの叫びなんですね。
スタイル・カウンシルが活躍した80年代当時のイギリスは、ストライキする労働者達と全面対決姿勢を打ち出したサッチャー政権の争いがありました。
サッチャリズムはグローバリズムの始まりになるんですけど、結果、格差の拡大を招きます。
労働者階級出身のポール・ウェラーとしては叫ばずにはいられなかったでしょう。
「Shout To The Top!」のTOPとは頂点、てっぺんの存在=神とか支配者階級とかですね。
TOPに向かって叫べ!という。
「それさえしなかったらどうするの?」という悲痛な思いか。
あるいは「俺たちは叫ぶことが出来るんだ」というポジティブなメッセージなのでしょうか。
ポール・ウェラーのことだから後者でしょうね。