「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019年) | ネコ人間のつぶやき

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 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019年)は、脚本も手掛けたライアン・ジョンソン監督が贈るミステリーです。

 

"Final film of the London Film Festival for this year: Knives Out ⭐⭐⭐⭐⭐. An excellent murder mystery that at its best moments takes the piss out of the whole murder mystery concept. Funny, entertaining, and at moments a bit gross." Photo by Cristiano Betta

source: 

 

 容疑者達一人一人にエリオット警部補が質問していると、ピアノの鍵盤を弾いて質問のタイミングを修正させる男。

 

 明らかにただ者ではない。事件担当リーダーのエリオット警部補もこの男にどこか遠慮している。

 

 彼は高名な名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)。


 本作の主人公です。

 

 名前を「ブラ~ンさん」と間違えて呼ばれて「ブランでお願いします」とちょっとムッとしながら言う辺り、名探偵ポワロを意識していてニヤリ。


 事件の設定もアガサ・クリスティ・リスペクトですね。

 

 「完璧と思われる仮説を検証すればするほど、穴が見えてきます。ドーナツなのです。そして『そのドーナツを見つけた』と思いきや、そのドーナツは穴が開いていたのです」と推理の解説をしているうちにノリまくりだし、エリオット警部補に「盛り上がっているところ恐縮ですが…」と何度も止められる名探偵。

 

 段々「本当にこの男は名探偵なのか?」と容疑者達だけでなく観客も疑い始めるのですが、事物への観察眼と人を観る力は間違いないのです。

 

 個性的で魅力的なブノワ・ブランをダニエル・クレイグが嬉嬉として演じております。

 

 他のキャラもくせ者揃いで演じる俳優陣も豪華。

 

  長女夫婦役のドン・ジョンソンとジェイミー・リー・カーティスなんか、私の世代には嬉しい布陣ですな。

 

 最初にライアン・ジョンソン監督の作品を観たのは「ブラザーズ・ブルーム」。とても印象的でした。

 

 が、こちらの勝手な期待?は 、次に観た「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」であえなく崩壊。

 

 それ以降ライアン・ジョンソン監督作品を避けていましたが、先日「ルーパー」を観て、「やはり面白い」となり、やっと本作にたどり着く。

 

 「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」は、事件自体は高額の相続にまつわる話で、ミステリーとしては定番中の定番。

 

 それだけに目新しく魅せるのは至難中の至難なはずですが、ライアン・ジョンソン監督はそのハードルを越えています。


 同じミステリーというジャンルでも構成は色々。

 

 ラストに種明かし、それまでは主人公と観る者が一緒にあれこれ推理するのが定番でしょうか。

 

 あるいは「刑事コロンボ」のように最初にネタバレしておいて、主人公がいかに真相に気づき、犯人を白状させるかまでのプロセスを楽しむパターンもありますね。

 

 本作はさらに凝ってますね。

 

 が、これを書いちゃうと観る楽しみがかなり減るのでここではふれずにおきます。


 コミカル要素をほどよく取り入れた「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」はお勧めのミステリーですよ。