「オリエント急行殺人事件」(1974年)は、シドニー・ルメット監督がオールスターキャストで贈るアガサ・クリスティー原作のミステリーです。
大雪ために立ち往生となったオリエント急行の一等車内でラチェットという男が殺害される。
ラチェットの遺体には計12回刺された跡が残っていた。
たまたま乗り合わせていたエルキュール・ポワロが依頼を受けて捜査を開始。
状況から容疑者は一等車の乗客たちに絞られる。
ポワロは捜査の過程でラチェットが実はカッセッティというマフィアのボスで、数年前に起きたアームストロング大佐の愛児誘拐事件の犯人だったことを暴く。
この事件のせいで、身重の大佐夫人は死亡、犯人と疑われて誹謗されたメイドは自死。悲劇に見舞われた大佐も自死をしてしまった。
カッセッティは身代金を得てまんまと国外逃亡していたのだった。
容疑者の男女は互いにつながりはないように思われ、しかも皆にアリバイがあった。
やがてポワロは驚愕の真実に辿り着くが…というお話。
アルバート・フィニーが名探偵ポワロを演じています。
容疑者の乗客たちに、リチャード・ウィドマーク、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、アンソニー・パーキンス等々、超豪華な顔ぶれ。
原作者アガサ・クリスティーが「オリエント急行殺人事件」の着想を得たのは、1932年に起きたリンドバーグ愛児誘拐事件とのこと。
犯人が逮捕されたものの、不可解な点があり、実は冤罪で真犯人は別人だったのでは?という説があるんです。
以前、BSでこの事件を解説されていたのを思い出しました。冤罪説も。
「アガサ・クリスティーは、リンドバーグ愛児誘拐事件の真犯人を作中で成敗した」という説にはなるほど、と思いましたね。
ラチェット殺害と事件を解決した際のポワロが下した判断については、色んなドラマや映画でオマージュやパロディになるくらい有名で、ネタバレも なにもない感じですね。
ポワロの独自の正義感は他の作品でも描かれています。最終作「カーテン」もそうですね。
ポワロは法律で裁かれない悪というものへの激しい嫌悪感を心に秘めていると思います。
それはアガサ・クリスティーの義憤でもあるのでしょう。