「水蛇Ⅱ」(1904年)は「画聖」グスタフ・クリムトの代表作の1つです。クリムトらしい官能美ですね。
"Klimt" Photo by bm.iphone
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事の終わりを連想させる気だるいムード。
こちらを見つめるぼんやりとした眼差しが何とも艶めかしい。
水の流れを漂う藻のように、ただ流れに身を任せる退廃的な女性たちの姿。
「水蛇Ⅰ」でもクリムトは女性同士の愛、戯れを描いています。
「水蛇Ⅰ」がエロスを様式美に昇華しているのに対して「水蛇Ⅱ」はより退廃的なエロスに際立っているのが大きな違いかな、と思います。
それにしても、クリムトは「水蛇Ⅱ」で何を表現したのでしょうか?
寡黙で自身と作品の解説をしなかったクリムトは次のような言葉を残しています。
「自分が別段面白みのある人間ではないことを私は確信している。…芸術家としては注目すべき人物である私に関して何かを知りたいと思うなら、私の絵をじっくり観察して、そこに私の人となりと私の意図を探してもらいたい」
ですので、「水蛇Ⅱ」も観る者が想像するしかありません(そういう楽しみをクリムトは私達に提供してくれたのかも)。
この絵の女性たちもクリムトが絵のモチーフに好んだファム・ファタールでしょうか。
確かに惹かれるものがありつつも、近づき難い何かがある感じです。
あるいは、この絵の女性たちがファム・ファタールではなくても、男性から見た女性存在という魅惑の謎をクリムトは描いたのかもしれませんね。
水蛇Ⅰ(1904~07年)
"klimt_watersnakes_1907" Photo by Art Gallery ErgsArt - by ErgSap
source: https://flic.kr/p/z6qZyE
以前、番組名を忘れてしまったのですが、女優の松下奈緒さんがクリムトゆかりの場所を巡る番組で「クリムトに私を描いて欲しい」という語りをされていました。
松下さんが「(クリムトは女性を)わかっている人だと思う」とその理由を語っていたのが印象的でしたね。
恋の強者クリムトの女性遍歴は華々しいものがありました。
同時にクリムトは女性たち(に限らず弟子にも)に優しく、相談に乗ったり支援をするなど魅力的で器の大きな人物だったそうです。
きっと人柄、生き方、すべてにおいて規格外だったんでしょうね。
多くの心を魅了する女性像を描いたクリムト。
作品と共に、クリムトの人柄やその人生を知ると、ますます彼の作品が黄金に輝いて心に映える思いになります。