「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年) | ネコ人間のつぶやき

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 昨夜BS-TBSで放映された「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年)は個人的にピアース・ブロスナン版007の4作の中で最高傑作だと思っています。

 

"CD-02-F001" Photo by Johan Oomen

source: https://flic.kr/p/akwuBU

 

 MI6本部でM(ジュディ・デンチ)の同窓生でもある石油王キング氏が暗殺され、娘のエレクトラ(ソフィー・マルソー)の護衛のためジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)はアゼルバイジャンへ飛ぶ。・・・

 

(※この後の文章は内容にふれます。その点ご了解ください)

 

 エレクトラはレナードに誘拐された過去があるのです。


 奇跡的に自力で脱出して涙するエレクトラの映像に保護本能がうずくボンド。しかし…。

 

 作中「生きている実感がないのなら死んだも同じ」という台詞があります。

 

 痛覚の無い男レナードは、生きる感覚を味わおうとするかのごとく悪行に突き進み、エレクトラは策略を練って巨万の富を得ようとする。

 

 二人ともあまりにもスリリングな生き方をすることで生きている実感を得ている。

 

 その点はボンドの生き方と共通するものがありますが、立ち位置が真逆なんですね。

 

 それが以下のくだり。

 

 エレクトラに「世界さえ与えられたのに」と言われた窮地のボンドは「The world is not enough.」と答えます。

 

 タイトルにもなっているこの言葉は「世界さえ不十分だ」といった意味ですね。

 

 エレクトラが「貪欲ね」と言うと「親譲りでね」とボンドは返す。

 

 この言葉がボンド家の家訓であることにかけているのですが、「君に例え世界を譲られたとしても意味がない」という返しだったのでしょう。

 

 過去の恨みを抱えた者たち(レナード&エレクトラ)が罪悪感を抱えた者たち(M&ボンド)の弱みを利用する展開になるストーリーがよい。


 ピアース・ブロスナン版007ではMがボンドにやたら厳しいんですよね。


 エレクトラに負い目があるMは余計ボンドにキツく当たる。


 結果まんまとエレクトラの罠に自ら入っちゃうんですが、Mを助けに行くのもボンドだけ。


 母親(M)に疎まれていて複雑な感情があっても頼りになるのは不肖な息子(ボンド)だった。


 Mとボンドの擬似的な親子関係。これはダニエル・クレイグ版007でメインテーマとなります。


 冒頭、Qがボンドに「敵に弱みを見せるな。そして逃げ道は確保しろよ」と冗談っぽく語った言葉は、人生のベテランから後輩に贈られた金言だったのですね。

 

 シリアス路線の本作ですが、冒頭から派手目の小道具とアクションは切れ味良いし、物語のテンポが良く、終盤もダレません。


 ストックホルム症候群を取り入れた意欲作。


 そしてハードボイルド調の作りの物語にはファム・ファタールと翻弄される男たちの図式は外せません。

 

 ファム・ファタールのエレクトラを演じたソフィー・マルソーが溜息出るほど美しい!


 もう一人のボンドガールはデニス・リチャーズ演じる物理学者のクリスマス・ジョーンズ博士。


 ヘソ出しタンクトップにホットパンツで、科学者じゃなくて明るいアメリカ娘というのはご愛嬌。


 

 

 

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