純粋さと不器用さ-「アラビアのロレンス」(1962年) | ネコ人間のつぶやき

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 「アラビアのロレンス」(1962年)はイギリス軍将校T.E.ロレンスの自伝を基にデヴィッド・リーン監督が映像化したスペクタクル巨編です。

 

 1916年、イギリス軍の命を受け、ロレンス(ピーター・オトゥール)はドイツと組んだオスマン帝国をけん制するためファイサル王子(アレック・ギネス)の協力を得てアラブ軍を率いるが・・・。

 

"162. lawrence_1_1" Photo by petcor80

source: https://flic.kr/p/vFt8YK

 

 名作ですね。デヴィッド・リーン監督の人間描写と映像美。

 

 ロレンスはイギリスという文明国、そして軍という人間社会になじめずにいます。

 

 あまりに純粋無垢なロレンスは任務で訪れたアラブの美しい砂漠に魅了され、やがて壮大な理想を掲げて実現を信じるようになります。

 

"Lawrence of Arabia (1962)" Photo by Susanlenox

source: https://flic.kr/p/6bm1Mg

 

 しかし、高い理想を掲げて闘いを続けるうちに、己の傲慢さがロレンスを蝕み、復讐の連鎖と残虐な暴力に彼自身を駆り立ててしまう。

 

 そして自分と周囲を傷つけた結果、理想から幻滅へ・・・。

 

 映画の中盤、以前なら成功したようなロレンスの無謀な行動によって二人の少年が命を落としてしまうのですが、映画冒頭のロレンスのバイク事故死は少年二人を避けた結果でした。

 

 ずっと彼は自分の所業に罪悪感を抱いていたのでしょう。

 ロレンスの不器用な生き方。彼はあまりに純粋すぎたように思いますね。結局「大人たち」に利用されただけのロレンス。切ないのです。

 

 もし違った状況でロレンスが美しい砂漠に出会っていたら?・・・彼は幸せだった気がしますね。