ハリウッド黄金期のアイコンとして輝いたイングリッド・バーグマン。
「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~」(2015年)はバーグマンのホームムービー、日記、友人への手紙、4人のお子さん達の貴重な証言で作られており、人間イングリッド・バーグマンの生き方を知る機会となりましたね。
イングリッド・バーグマン (1915.8.29~1982.8.29)
"Ingrid Bergman" Photo by Sue
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バーグマンは冒険を目の前にすると飛び込まざるを得ない性格の女性だったそうです。
実際母国スウェーデンからハリウッドに渡ったのもそうですし、そして私生活は波乱万丈でした。
それはバーグマンが早くに身内を失っていることと関係があった、とのこと。
「カサブランカ」(1942年)のイルサ役は今もバーグマンを語るうえで欠かせないほど有名。
"BE023918" Photo by Tullio Saba
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バーグマンは3歳の時に母を亡くしており、母の記憶がないのです。
そして12歳の時最愛の父が亡くなります。既に友人も親類も亡くなっていたそうです。
それゆえに次女のイングリッドさんは「全力で生きようと思うでしょう?」。
"“I was the shyest human ever invented, but I had a lion inside me that wouldn't shut up." - Ingrid Bergman #wcw ... Stay tuned for an exclusive Instagram giveaway tonight! It's a good one.✌️" Photo by Tradlands
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バーグマンはカメラを愛し、よく撮影をしていましたが、父親がカメラマンで彼女をよく撮影していたそうです。
バーグマンが恋した戦場カメラマンのロバート・キャパ、ロッセリーニ監督もカメラを扱う人です。
長女のピアさんは「愛する父親は常にカメラの向こうで笑っていた。愛はレンズ越しのもの。向こう側に愛する父親を見てたのよ」と語っています。
""I was the shyest human ever invented, but I had a lion inside me that wouldn't shut up." - Ingrid Bergman #wcw" Photo by Tradlands
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バーグマンとロッセリーニの仲は大スキャンダルとして世間を騒がせましたが、それを隠さなかったバーグマンは猛バッシングを浴びつつアメリカを離れ、ロッセリーニと再婚します。
二度目のアカデミー主演女優賞を受賞した「追想」でハリウッドに帰還しましたが、それは7年半の後でした。
追想(1956年)
"Ingrid Bergman" Photo by kate gabrielle
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お子さんたちによると素顔のバーグマンはチャーミングで勇敢、そしてシャイな女性だったそうです。
生涯現役女優にこだわり冒険に飛び込むバーグマンでしたが、前夫への尊重を保ち、子ども達を愛していたそうです。
バーグマンとロッセリーニ、子ども達。
"BE060988" Photo by Tullio Saba
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とは言え、お子さんたちは離婚の際にはパパラッチが押し寄せてしまって怖い思いをしたり、人生の冒険家で多忙なバーグマンに「もっと居て欲しかった」という子としての気持ちがあったわけですね。
それでも母としてだけでなく、明るくて開放的なイングリッド・バーグマンその人に居て欲しかった、とのこと。
お子さんたちがこう言えるまでには色んな思いを整理されてきたと思います。
そしてお子さんたちも理解していたことは、バーグマンは第一に女優である、ということでした。
「ジャンヌ・ダーク」(1948年):バーグマンは舞台でもジャンヌを演じた。
"Juana de Arco" Photo by Ethan Edwards
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ジャンヌ・ダルクにずっと惹かれていたというイングリッド・バーグマン。
ジャンヌは「偉大なことを成し遂げる」というお告げを聴いて英雄になりましたが、常々「後悔はしない」と言っていたバーグマンは、自分自身の心の声に忠実な女性だったのでしょう。
そういう女性だったのでジャンヌ・ダルクに共感していたんじゃないかな。
きっとバーグマンは人生があっという間に終わるものから、全力で生きなければならない、ということを知っていたのでしょう。
そして何を言われても自分の人生を後悔せず、堂々と立ち、自分の生き方を決めるのは自分自身であることを貫いた女性だったのですね。
「私は自分がしたことに後悔したことはありません。私はしなかったことに後悔するのです」-イングリッド・バーグマン-
"Ingrid Bergman" Photo by kate gabrielle
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ひとの評価はそれぞれですが、実際のところは他人にはわからないのが人間。生き方も人生もまた色々。
言えることはイングリッド・バーグマンは、後悔のないよう、いつ終わるかわからぬ一度きりの人生を覚悟をもって全力で駆け抜けた女性だったということでしょう。