ゴールデンウィークが始まりましたね。親子の時間を楽しんでください。
「アラバマ物語」(1962年)はピュアリッツアー賞を受賞した原作小説を映画化した社会派ドラマです。
同時に親子関係について学ばされる名作でもありますね。
"BE025008" Photo by Tullio Saba
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時は大不況の1932年、黒人への偏見が根強いアメリカ南部・アラバマ州の田舎町。
スカウト(メアリー・バダム)と兄のジェム(フィリップ・アルフォード)は近所で遊ぶ無邪気な兄妹。
兄妹は噂のみで隣の家にずっと閉居している『ブー』の存在が気になっていた。
妻を4年前に亡くした父のアティカス(グレゴリー・ペック)は弁護士で、良識がある温和な紳士。アティカスはその人柄から町の人々から尊敬されている。
ある日判事が白人女性に対する暴行事件の弁護をアティカスに依頼する。
しかし容疑者が黒人青年であったために、以降、一家は手のひらを返されて町中から心無い中傷を浴びることになる・・・。
"445. mockingbird_1_1" Photo by petcor80
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大人になったスカウトが「あの夏」を回想するかたちで物語が進行します。
小学校に上がったばかりのスカウトにとっては、学校での出来事が不条理なことだらけで理解できない。
そしてアティカスが容疑者であるトムを弁護することになって、スカウトとジェムはアティカスの姿から、社会がいかに醜く不条理な「戒律」で動いているかを見て学ぶことになるのですね。
それでも「ケンカはするな」「相手の身になって考えなさい」とスカウトを諭すアティカス。
原題の「To Kill A Mockingbird」は「モッキン・バード=ものまね鳥を殺すのは」という意味です。
モッキン・バードはツグミの一種で、アメリカでは庭に飛んでくるような、日常的な鳥だそうです。日本で言えばスズメのような。
「人に害を与えず、庭も荒らさないモッキン・バードは美しい声でさえずる。そのモッキン・バードを撃ち殺す必要があるのか」。
このタイトルが的を得ていますね。
自分では良いことと思っても、相手の身になれていなかったら、相手は哀れなモッキン・バードになってしまいます。
親は子に教え、子を守るものですが、時に子どもの言葉が親を教えてくれ、子にも親を守ろうとする本能がある。
そして不条理な世にあっても良いこともあり、それは意外な形でやって来たりするものかもしれませんね。
「古き良きアメリカの良心」を体現したグレゴリー・ペックがアティカスを演じているのがピッタリでした。