「何事もほどほどが良い」と言いますね。今回は「ミッドナイト・エクスプレス」、「バーディ」のアラン・パーカー脚本監督の「エンゼル・ハート」(1987年)のお話を。
1955年、ブルックリンの私立探偵ハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は謎の紳士ルイ・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から人探しを依頼される。
しかし第二次世界大戦前の人気歌手・ジョニーを探すハリーの行く先々で奇怪な事件が起きて・・・。
"ZGG5" Photo by Raoul Luoar
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私は怖い映画が苦手なので基本観ないのですが、この作品は当時主演二人の競演が話題になったので観ました。
オープニングの夜の通りの描写から怖いです。でもこの映画の真骨頂は観る者の心理に迫る物語です。
ステッキに長い爪の手のひらでゆで卵をゆっくりゴロゴロとテーブル上で転がして殻をむくルイ・サイファー。見るからに妖しく何かある雰囲気です。
冒頭はフィルムノワールやハードボイルドの主人公を気取るハリーがルイの依頼を受け、調査を続けるうちに段々追い込まれてルイと密談する場所が教会。すごい皮肉なのですね。こういうところも巧い。
"ZSZA" Photo by Raoul Luoar
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人は自分自身を知りたいと願うものです。それが現在の悩みを解決する手立てになったりします。
難しいのは、自分の過去を掘り起こしても、記憶の奥から宝のようなものが出てくるとは限らず、逆にとんでもないものが出てきちゃうことがあるということ。
「エンゼル・ハート」の公開時のキャッチコピーは「人間には、知ってはならないことがある」。
例え自分のことでも人は知らない方が良い真実はあると思いますね。
ギリシャ悲劇の「オイディプス王」もそうでした。「エンゼル・ハート」はいわば現代の「オイディプス王」ですね。シビアなテーマも記憶に焼きつく映画である理由でしょう。
「オイディプス王」についてはこちらの記事
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