アンリ・カルティエ=ブレッソン「サン=ラザール駅裏」(1932年) | ネコ人間のつぶやき

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 こちらの地方も梅雨入りしまして今日も雨がしとしと降っています。今回は20世紀を代表する写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの「サン=ラザール駅裏」(1932年)。

 

「サン=ラザール駅裏」(1932年)

"1932 Behind the Gare Saint-Lazare, Paris" Photo by Ur Cameras

source: https://flic.kr/p/AH2DUK

 

 雨上がりのサン=ラザール駅の裏。水たまりの上に浮かぶ梯子から走り去る一瞬のように見えますね。

 

 写真だから止まっているのに、観ている私の目の前を男性が横切ってフレームアウトしてゆく動きを感じるのです。

 

 この男性は水たまりを無事渡りきるでしょうか?それとも落ちて水浸しになっちゃうのかな?・・・などと想像しちゃいますね。

 

 なんか楽しい気持ちになります。でもかなり寒そうですからうまく渡りきって欲しいですけどもね。

 

 「決定的瞬間」と言いますけれども、アンリ・カルティエ=ブレッソンの眼は、完璧な構図でこの一瞬をとらえています。

 

 写真家の眼は多くの人には見えないものを見る力があるのでしょう。

 

"M4 Cartier-Bresson Henrì 2" Photo by Ur Cameras

source:https://flic.kr/p/C2GNnJ

 

 アンリ・カルティエ=ブレッソンは小型カメラのライカを手に街中を歩きまわって、日常の一こまを撮影していたそうです。

 

 「ポーズはこうして」と作り上げた対象を撮影するのではなかったんですね。

 

 で、しかも完璧な構図。どう狙って撮ったんでしょうか?

 

 普段の日常の一瞬を切り取った一枚。暮らしの中に芸術がある。

 

 そのことをアンリ・カルティエ=ブレッソンは教えてくれている気がしますね。