「耳をすませば」(1995年)は思春期の心を描いた秀作です。昨夜テレビで放映されていましたね。
読書が大好きな中学生の雫は図書館通いをしています。ある時、雫は自分が借りる本の貸し出し名簿に必ず「天沢聖司」という名前があることに気づきます。
そして夏休みのある日に出会ったちょっと嫌な感じの同級生がその天沢で・・・。
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図書名簿の名前から想像で恋の感情を抱いていた天沢に雫は運命の出会いをするのですね。
天沢は既に自分の道を決めていて、そのために中学卒業の具体的な進路のための準備までもしています。
一方、雫はまだまだ将来が見えていないので、そんな天沢に複雑な感情を抱くのですが、天沢に惹かれてゆきます。
雫と親友の夕子
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思春期は子どもから大人への移行期。そして「自分は何者か?」「将来何になるのかな?」という問いかけが始まります。「他の誰でもない」と明確な自我意識が芽生えるのですね。そしてモヤモヤと悩む。
だから雫の感じている漠然とした不安はむしろ自然なこと。でも、それを黙って見守る雫の家族の姿勢が素敵ですね。雫に関心を持ちながら見守っているわけなのですから。
これから自分の好きな道を探し、あるいは作ってゆくことは、不安だけではなく、喜びや期待でもあるのですね。
そういうきっかけが好きな趣味、友人関係、初恋だったりする。思春期に迷い、試行錯誤することは旅のようなものです。思春期の醍醐味ですね。そういう思春期の世界がみずみずしく描かれています。
図書館に向かう電車に乗り来んできたネコと雫。ネコが導くその先は・・・?
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初恋をした瞬間から、雫の眼には今まで見慣れた風景すべてがキラキラと輝いて見えたでしょうね。何回も読んだ本さえ新鮮な物語になるような感じでしょう。
思春期は確かに独特の難しい時期ですが、同時に二度とない、特有の素晴らしさを秘めたみずみずしい時期でもあります。そう感じさせてくれた物語でしたね。