梅雨に入り本格的に蒸し暑くなりましたね。今日は突然の夕立もあり、モア~っとした熱気です。なんだか日本は気候が亜熱帯っぽくなってきましたね。
亜熱帯な蒸し暑さ、熱気と言えば(強引な導入ですが…)香港を舞台にした「恋する惑星」(1994年)。公開当時とても話題になったので観ました。
そして最近4半世紀近くを経て久々に観直したら、やっぱり当時とおなじ感覚が蘇ったので、なんだか嬉しくなりました。
出て行った元カノが部屋に置いていったぬいぐるみを見つめる警官663号(トニー・レオン)。
"Chungking Express - Nominated for the Independent Spirit Award Foreign Film Category 1997" Photo by Caspy2003
source: https://flic.kr/p/8Uor1F
舞台は香港、九龍の雑居ビル。1階に小食店「ミッドナイト・エクスプレス」があります。ここに通う傷心の警官2人とそれぞれの新たな出会いの恋模様をロマンティックに描いています。
物語は前半が傷心の警官223号(金城武)と逃亡中の謎の金髪女性(ブリジット・リン)の物語。後半が彼女が出て行ったばかりの警官663号(トニー・レオン)とミッドナイト・エクスプレスに勤務しだした女の子・フェイ(フェイ・ウォン)の物語です。
特に後半のパート、ミッドナイト・エクスプレスで警官663号に出会って彼を0.1秒で好きになったフェイが印象深いですね。
フェイ・ウォンの歌う「夢中人」がとっても良い。この歌に合わせて警官663号の部屋を綺麗にしてゆくフェイの姿がメルヘンチックに描かれています。
ニアミスを繰り返す警官663号とフェイの姿がかくれんぼと鬼ごっこをしている感じなのですね。
警官663号の元カノが部屋に置いていった白いクマのぬいぐるみもいつの間にかフェイによってペイントされてトラさんになっちゃうのです。
でも警官663号は、そのぬいぐるみを抱き上げてシマシマのトラ柄を見ながら「お前も傷だらけになっちゃって・・・」とつぶやく(笑)。そう、この物語は現代の恋のおとぎ話なんですよ。
"254. chunking_1_1" Photo by petcor80
source: https://flic.kr/p/v26eFc
おとぎ話とはファンタジーですね。ファンタジーを描く想像力は生きてゆく上でとても必要です。心が豊かな証拠ですから。
おとぎ話を喪失した現代社会に生きる私たちにとって、ファンタジーを描いて夢を見ることは余計に大切な気がします。
そのおとぎ話の日常的な典型は、例えば恋愛もそうかもしれないですね。この映画を観るとそう感じましたね。
恋愛を実際にしなくとも、こういう恋愛物語を観るだけで心が豊かになるのはそのせいでしょう。
映画の舞台となった九龍の雑居ビル。映画のヒットで当時観光名所にもなったそうです。
"Chungking House" Photo by Graham
source: https://flic.kr/p/8Y7Vr
この作品の香港の蒸し暑い感じと多国籍で雑多な雰囲気がいかにも香港という感じですね。こういう蒸し暑い季節に「恋する惑星」を観るのも良いのでは。