「トロイの木馬」で有名なトロイア戦争。この一大叙情詩は、過去にブラッド・ピッド主演、オーランド・ブルーム共演で映画化もされました。
"Troy-7692r" Photo by discutivo
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ギリシャ軍の勝利を導いたのは、中に50人の兵士を忍ばせた巨大な木馬をトロイの街中に送り込む作戦。この作戦を考案したのが知将・オデュッセウス。
実はオデュッセウスは戦争に行きたくなかったのです。
行けば20年祖国に帰ってこれない。
その挙句「お前は乞食となって世間から見捨てられるであろう」という神託が出たからなんですね。
そこで彼は気がふれた演技をして逃れようとしますが、見破られてしまい、美しい妻・ペネロペを国に置いて戦争へ。
木馬作戦でトロイを攻略し、長い長い戦いに終止符を打ったオデュッセウスでしたが、英雄どころか神託通りに乞食の旅人になってしまうのです。
祖国ではペネロペは夫の帰還を待ち続けています。でも夫は帰ってこない。
やがてペネロペの美貌と財産目当てに百人を越える数の男性陣がペネロペに求愛します。
帰ってこない夫に不安を募らせつつもペネロペはあの手この手で男性陣をかわすのですが、さすがに策がついてしまう。
ペネロペは「夫の大弓で12の鉄斧を射通した者と結婚する」という条件を出すことに。
中々大弓でこの難題をやり遂げる者はおりません。
しかし、乞食姿の旅人の男がこの難題をクリアしたのです。
ペネロペは「もしや?」と思うのですが、乞食姿だし、夫と20年も会っていないので自信がない。
課題をクリアしたので約束通り乞食の妻になると宣言したペネロペは「初夜の床にオデュッセウス特製のオリーブのベッドを用意させます」と言うと、乞食が「おかしいな?あれは根の生えたオリーブで出来ているから動かせないはずだが?」と言ったのです。
その言葉を聞いて、ペネロペは大喜びでオデュッセウスの胸に飛び込んだのです。
"Marble head of a companion of Odysseus" Photo by Fabian Reus
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神託とは神様からのお告げですから、本来は変えられない運命です。
ギリシャ神話には「オイディプス王」をはじめとして、神託に抗っても結果的にその運命通りになる、という悲劇的なお話がたくさんあります。
でも、このオデュッセウスとペネロペの夫婦の物語は、その神託を夫婦の愛が超えた、という珍しいお話なんです。
「人生はわからないよ」ということですね。