腰椎編⑤『1日5分で読める、セラピストに必須の解剖学・運動学・生理学の基礎』 | 一般社団法人セラピストフォーライフ公式ブログ

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おはようございます。

 

 

本日は、「腰椎に関連する整形外科的検査法①」についてご紹介させて頂きます。

 

 

 

 

アウトライン

・バルサルバ検査法 Valsalva Maneuver

・デジュリン3徴候 Dejerine Triad

SLRテスト Straight Leg Raising Test

・ブラガードテスト Bragards Test

・ラセーグテスト Lasegue Test

・変形SLRテスト Modified SLR

 

 

 

 

●占拠性病変

・脊椎の占拠性病変は脊柱管狭窄症につながる。脊柱管狭窄症は、中心管、外側陥凹、椎間孔などの脊椎の管状構造が狭くなる病変である。これは、先天性、発育性、後天性、外傷性、手術後のものに分類される。

 

・椎間板損傷、肥大性あるいは変性変化、滑液嚢腫、骨折、腫瘍、あるいはこれらの混合が考えられる。占拠性病変は、脊髄、馬尾、神経根などの脊椎の神経構造に影響を与える。

 

①バルサルバ検査法 Valsalva Maneuver

検査方法

患者を座位とし、便座の上でいきむように力ませ、緊張の大半を腰椎領域に欠けるように指示する。痛みの増強があればその場所を示させる。このテストは非常に主観的なものなので、患者からの正確な回答が必要である。

 

理論的根拠

このテストは全脊椎中の硬膜の内圧を高める。内圧の増大に伴う局所痛があれば、腰部脊柱管ないし椎間孔の占拠性病変(椎間板損傷、腫瘍、骨棘など)が考えられる。

 

 

②デジュリン3徴候 Dejerine Triad

検査法

患者を座位とし、咳とくしゃみをさせ、また便座の上でいきむように力ませる(バルサルバ検査法)

 

理論的根拠

この3つの運動の1つをした後に、腰椎の局所に痛みを生じれば、おそらくは占拠性病変(椎間板損傷、腫瘍、骨棘など)による硬膜内の内圧の増大が示唆される。

 

 

 

 

 

 

●腰椎神経根と坐骨神経の刺激症状と圧迫テスト

 

SLRテスト Straight Leg Raising Test

 

 

検査方法
患者に仰向けになってもらい、下肢に痛みが出るところ、又は90°まで挙上する。
 

理論的根拠
・主として坐骨神経と第5腰椎、第1・第2仙骨レベルの神経根を伸展する。股関節屈曲70°~90°の間でこれらの神経は完全に進展し、この間で痛みが起きれば腰椎椎間関節の痛みを疑う。

・35°~70°で椎間板上で坐骨神経根が緊張し、この間で放散痛が始まれば、椎間板病変による坐骨神経根の刺激を疑う。

・0°~35°では硬膜の動きがないので、坐骨神経は比較的ゆっくりしており、この間で痛みが始まれば、硬膜外の病変が疑われる。また、大腿後面に鈍い痛みがあれば、ハムストリングスの過緊張を疑う。

 

 

②ブラガードテスト Bragards Test

検査方法

患者に仰向けになってもらい患者の脚の痛みが出るまで持ち上げる。次に脚を5°下げて、足関節を背屈させる。

 

理論的根拠

・下肢挙上0°35°の間で痛みが誘発されれば、坐骨神経の硬膜外からの刺激が疑わ

れる。

・35°70°の間で痛みが誘発されれば、硬膜内からの坐骨神経根の刺激が疑われる。普通は椎間板によるものである。大腿後部の鈍い痛みは、ハムストリングスの緊張を示す。

 

 

 

③ラセーグテスト Lasegue Test

検査方法

患者に仰向けになってもらい、患者の膝を屈曲させて同時に股関節を屈曲させる。次に股関節は屈曲したまま、膝を伸展させる

 

理論的根拠

最初の操作で痛みが無く膝を伸展したときに痛みが出れば坐骨神経痛の疑いがある。股関節と膝を屈曲した時には坐骨神経に緊張は無いが、股関節を屈曲し膝を伸展した時には坐骨神経が伸延して痛みを起こしたり増強する

 

 

④変形SLRテスト Modified SLR

検査方法

1.変形SLR (シカール徴候) :症状が再現された角度から、持ち上げた足を約5度降ろす。術者は、検査側の足の親指を伸展させる。

2.変形SLR (ブラガード徴候):シカール徴候と同じ位置で検査を行う。検査側の足首を背屈させる。

3.変形SLR (ボンネー徴候) :シカール徴候と同じ位置で検査を行う。下肢を内旋、内転させる。患者の反応に注意しながら、操作はゆっくりと行うこと。

4.変形SLR 4SLRの位置から、股関節を外旋させる。患者の反応に注意しながら、操作はゆっくりと行う。

 

理論的根拠

痛みや神経学的症状が神経根の刺激によるものか、遠位での末消神経の刺激によるものかを区別する。

 

 

 

 

 

参考文献

写真で学ぶ整形外科テスト法 増補改定新版:JJ.シプリアーノ(著)、斎藤明義(監訳)、医道の日本社

 

 

 

本日のまとめ

・各テストの違いを理解し、必要のないテストは極力行わず対象者の負担も視野に入れて行うことが大切である。

 

 

 

いつも最後までお読み頂きありがとうございます。

 

 

次回は、「腰椎に関連する整形外科的検査法②」を予定しています。

 

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

一般社団法人セラピストフォーライフ

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代表 齊藤洋輔