腰椎編⑥『1日5分で読める、セラピストに必須の解剖学・運動学・生理学の基礎』 | 一般社団法人セラピストフォーライフ公式ブログ

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おはようございます。

 

 

本日は、「腰椎に関連する整形外科的検査法②」についてご紹介させて頂きます。

 

 

アウトライン

①ケンプテスト Kemp Test

②大腿神経伸展テスト Femoral Nerve Traction Test

③片脚立ち腰椎伸展テスト 

  One Leg Standing Lumbar Extension Test

支持前屈テスト Supported Forward Bending Test

 

 

 

●腰椎神経根と坐骨神経の刺激症状と圧迫テスト

 

①ケンプテスト Kemp Test

検査方法

患者を座位か立位。片手で上後腸骨棘を固定、もう一方の手で患者の前に手を回す。患者の胸椎を斜め後方に屈曲させる。

 

理論的根拠

患者が斜め後方に屈曲すると、屈曲側の硬膜嚢が外側に動き、神経根の外側に椎間板病変があると、病変部の下の神経根の緊張が増し、通常は斜めに屈曲した同側の腰部神経根に痛みを起こす。屈曲の反対側では、硬膜嚢は正中線に向かって動く。神経根の内側に椎間板病変があると病変部の上の神経根が緊張が増し、通常は斜めに屈曲した体側の腰部神経根に痛みを起こす。もし患者に局所的な腰部痛が出現した場合、腰部の筋に痙攣または椎間関節炎が疑われる

 

 

②大腿神経伸展テスト Femoral Nerve Traction Test

検査方法

検査側を上にして患者を側臥位とする。患者に反対側の股関節・膝関節を軽度屈曲するように指示する。検査肢を持ち膝関節伸展位で股関節を15°伸展させる。次に、大腿神経がさらに伸びるように膝関節を屈曲させる。

 

理論的根拠

股関節の伸展と膝関節の屈曲は、大腿神経やL2-L4の神経根を伸張させる。大腿前内側の放散痛はL3神経根障害が疑われる。下腿中央まで広がる痛みはL4神経根障害を疑う。この検査は検査側の神経根を圧迫・刺激することで疼痛を誘発することもある。

 

 

●関節機能障害テスト

 

①片脚立ち腰椎伸展テスト One Leg Standing Lumbar Extension Test

検査方法

患者に片脚で立ち、腰椎を伸展させるように指示する。患者がバランスを失う場合近づいて支える。反対側の足でもテストを繰り返す。

 

理論的根拠

片足で立って腰椎を伸展させると関節突起間部への圧力が増す。関節突起間部が骨折していると腰椎に痛みを感じるか痛みが増す。これは脊椎分離症や脊椎すべり症を疑う所見である。

 

 

 

②支持前屈テスト 

Supported Forward Bending Test

検査方法

患者を立位にして膝伸展位を保ったまま前屈を指示する。次に、検者の腰で患者の仙骨を支えながら患者の腸骨を両手でしっかりと保持し、もう一度前屈させる。

 

理論的根拠

腰椎に障害がある場合には、どちらの前屈でも痛みが起きる。腸骨を固定しない時だけ痛みが起きるのは仙腸関節の病変である。

 


参考文献

写真で学ぶ整形外科テスト法 増補改定新版:JJ.シプリアーノ(著)、斎藤明義(監訳)、医道の日本社

 

 

本日のまとめ

・各検査を行う際には、必ず対象者への説明と同意を得たうえで進めていく必要がある

・テストの特徴と実施する順序を考慮する。無闇に体位を変え続けることは対象者への負担となる

 

 

 

いつも最後までお読み頂きありがとうございます。

 

 

今回で「腰椎編」は最後となります。

 

 

次回より、「胸椎編」予定しています。

 

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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代表 齊藤洋輔