本「アーサー王と中世騎士団」「西洋中世奇譚集成 魔術師マーリン」 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

 先週末に観る予定だった、永田崇人ひとり芝居フィリップ・リドリーの「ポルターガイスト」@シアターウエストと、杉原邦生演出サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」@KAATが、役者さんや演出家さんの体調不良のため、立て続けに公演中止になってしまった😔 楽しみにしていただけに凄く残念です。

 最近読んだ本を書いておきます。新刊ではないんだけど。

 

「アーサー王と中世騎士団」(原書房、2007年)

 著 ジョン・マシューズ/監修 本村凌二

 アーサー王の物語の発端は、5世紀末~6世紀初頭のブリテン島に、海を渡って侵攻してくるゲルマン人を撃退した強~いブリテン人武将がいた、という伝承(文献)です。その彼の話がアーサー王として英雄伝説化して語られ、やがて、アーサー王の一代記に関連づけて、騎士や乙女が登場する冒険や恋愛などの物語が創作されいく。そして、本来は別々にあったそうした物語たちを編纂する形で、15世紀にトマス・マロリーが「アーサー王の死」という物語を書き集大成させました。

 今回読んだこの本は、アーサー王を巡るいくつものエピソードを「英雄アーサー」「神話の王」「預言者マーリン」「円卓の歴史」「湖の乙女たち」「聖杯の探究」「過ぎし日の王、未来の王」という章に分け、各お話の概要、元々の物語の紹介、解説などによって多角的に展開しています。内容は深くて本格的で凄く面白く、カラー図版や写真も多用されていて目にも楽しい本でした。

 

「西洋中世奇譚集成 魔術師マーリン」(講談社学術文庫、2015年)

 著 ロベール・ド・ボロン/訳 横山安由美

 著者のロベール・ド・ボロンは12世紀後半~13世紀前半のフランス人。本書はアーサー王の物語に登場する魔法使い&予言者マーリンの、その不思議な誕生から始まって、3代の国王に仕えながら波乱の人生を歩み、最後にアーサー王の誕生を助けるまでの物語です。神と悪魔の両方から運命を授かって生まれたマーリンが、そのマジカルパワーを次々と発揮して国を操っていく様子が、各王の治世と絡めて語られていて、いろいろと興味深かった。

 ちなみに表紙カバーの写真は、イギリス南西部、アーサー王誕生の地 “ティンタジェル城” があったとされる場所の、崖の下にある “マーリンの洞窟” 。ここにマーリンが暮らしてたらしい😅

 

 

 読んでいるうちに脳内がアーサー王になったので、誘われるようにして、手持ちのDVDを久しぶりに観ました。

「エクスカリバー」(1981年)

 監督 ジョン・ブアマン/原作 トマス・マロリー「アーサー王の死」

 アーサー王関連の映画作品はいくつか観たけど、これがダントツで圧倒的に面白い👍 マーリンの魔法の力でアーサーが生まれ、王になり、魔剣エクスカリバーを手にし、王妃グィネヴィアと騎士ランスロットの不倫裏切りにあい、不義の息子モードレッドと戦って倒れ、癒しの島アヴァロンに運ばれるまで、が描かれている。メタリックな燻し銀の甲冑、剣や甲冑が触れ合う乾いた金属音、飛び散る赤黒い血、鬱蒼とした森と泥土、石造りの薄暗い城内、蝋燭の黄色い光……“ヨーロッパの中世前期” の世界がリアルに広がります。たまりませんー😊

 

「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(1975年)

 監督 テリー・ギリアム/テリー・ジョーンズ

 これも大好きな映画。アーサー王物語のうち、王と騎士たちの聖杯(ホーリー・グレイル)探究をテーマにしたパロディー作品です。

 モンティ・パイソンはイギリスの70年代から80年代にかけて一世風靡したコメディー6人グループ。1969年に始まったBBC TV番組「空飛ぶモンティ・パイソン」で人気となり、TVのほかライヴ、映画、書籍、舞台などで活躍。不条理でシュールで風刺に富んでいてブラックな笑いを振り撒きます。

 この映画は、アーサー王が円卓の騎士を募り、集まったところで神の声を聞いて聖杯探究の旅に出て、その過程で個々の騎士が冒険体験をし、でも結局だれも聖杯を手にすることはできず、現代の警察官に捕まって😅終わり(聖杯探究の途中、現代の歴史学者が解説している時その学者を殺しちゃったんで、警察が捜査していた)。もう笑いっぱなし😆

 

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