「俳優祭」@国立劇場 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

 行ってまいりました‼️ 後日にNHKでの放送があるはずなので(撮影隊ガッツリ入ってました)舞台の感想はザッと程度で。今回の俳優祭の担当理事・実行委員長でおられる梅玉さんから、最初にご挨拶とプログラムの紹介がありました。

 

「菅原伝授手習鑑」(企画・構成 松緑)

加茂堤→●桜丸:團子●女房八重:千之助●苅谷姫:莟玉●齊世親王:玉太郎●三善清行:吉之丞

 まだ舞台経験の浅い若手役者さんたちによる時代物で、これまで研鑽を積んできた成果の発表の場というくくり。梅玉さんがちょっと照れ臭そうに「いわばZ世代の役者さん……」とおっしゃっていたのが微笑ましい。すご〜く見応えありました。

 千之助の八重はとても可愛くて世話女房の雰囲気もあり、孝太郎の八重と重なりました。役が受け継がれていく現場を目撃した気分。團子の桜丸も丁寧に演じていて爽やか。立ち振る舞いのとき腰の位置が高いのが気になったけど、今の子たちは脚が長いから歌舞伎やるとき大変ですよね。

車引→●松王丸:染五郎●梅王丸:鷹之資●桜丸:左近●杉王丸:市川福太郎●金棒引:市川福之助●藤原時平:松緑

 桜丸は左近にバトンタッチ。むきみ隈の顔がスッキリと美しく、初代辰之助(彼にとっては祖父)にそっくりで、隔世遺伝ってあるんだなあと思った。同様に松王丸の染五郎も二本隈の顔が(幸四郎じゃなくて)白鸚さんにこれまた似ていてねー。染五郎がここで松王丸をやるって知ったとき「いや無理……」と思ったの謝ります🙇‍♀️ 想像の上を行く素晴らしさ。出てきた時はさすがに大きさは感じられなかったけど、セリフを発したら、ちゃんと松王丸だった。太くて低い声が力強く響き、あの細っこい身体からあんな声が出るのかと。今月の「一本刀土俵入」でやったヤクザな子悪党でも思ったけど、染五郎の進化に目を見張ります。梅王と松王はその力強さを表すために、立っているとき足の親指をピッと上に立てるんだけど、染五郎はその親指が長いんで立てた指がツ-ンと目立っちゃって可愛かった。そして鷹之資の梅王丸が、分かっていたけど、とても、とっても良い。声の張りや身体の動き、止めの型など堂々としていて本当に荒事になっている👏 成田屋の市川福之助&福太郎も立派でした。

 

「映像でふりかえる初代国立劇場の思い出」(企画・構成 菊之助)

 第1回公演から主な公演を写真や映像で振り返る企画です。何年のときの作品か字幕が出るんだけど、最初に言ってしまおう。年代は西暦で表示してほしい、どうしても和暦で表示したいのなら( )に西暦を入れてほしい。昭和○年、平成○年って言われても、ふつうは “それって今から何年前? 自分は何歳のとき?” って思い起こしませんか? 西暦で出してくれないともう分からない……。

 さて、国立劇場での第1回歌舞伎公演(1966年)は「菅原伝授手習鑑」で、その記念すべき第一声はなんと斎世の君を演じた孝夫さんだったんですね😃 可愛らしいお姿見られました。1986年の「仮名手本忠臣蔵」斧定九郎の初代辰之助(現・松緑のお父さん)の「ごぉじゅぅぅぅりょぉぉぉ……」がヒェーッてなるくらいカッコ良かったよ~。私は辰之助の舞台を観ている程度の歌舞伎観劇歴なのですが、ほんとにワクワクさせてくれる役者さんだった。そしてまた、17代目勘三郎の高師直の憎ったらしいこと!(対する判官は梅幸)。1991年の「盛綱陣屋」では松也が小四郎のお役で出てたのね。あーこんな時もあったな……としみじみ。これらの映像では客席がどよめきましたね。澤村藤十郎さんの映像も見せてくれて感涙🥲 懐かしい役者さんたちの映像オンパレードで貴重すぎました、これは保存版です!

 

「劇場八景名残隼」(企画・構成 幸四郎)

●軽業:幸四郎●山伏:獅童●歯技師:巳之助●医者:新悟●北条時政:彌十郎●滝の白糸:水谷八重子●三途の川の婆:勘九郎●冥土のメイドたち:米吉/宗之助/鶴松/吉太朗/河合雪之丞●閻魔:團十郎(昼)/愛之助(夜)●閻魔の妻:児太郎●閻魔の愛人:七之助●弁天小僧:萬太郎●碇知盛:橋之助●「新・水滸伝」の人々:猿弥/寿猿/笑三郎/笑也/門之助/青虎/壱太郎●花四天:鴈治郎/扇雀/芝翫/錦之助●地獄の役人:中村福之助/歌之助/虎之介

 いよいよ俳優祭名物のお笑い演目です。以下いろいろネタバレしてますが、TV放送は先のことだから、その時までには忘れてください🙇‍♀️ 落語の「地獄八景亡者戯」などを下敷きにした企画創作演目で「地獄巡り」もの。 “隼” は中村隼人とは関係なく、国立劇場が隼町にあるから。冥土に迷い込んだ人たちが、三途の川のオババと会ってもてなされたり、閻魔さまに地獄行きor極楽行きの審判を下されたりするエンタメです。

 個人的にいちばんツボだったのは、鴈治郎さん、扇雀さん、芝翫さん、錦之助さんが花四天で登場して「わけえ(若い)もんには負けねえ!」って(錦之助さんが)言って、幸四郎さん相手に立ち回りするんだけど、4人とも動きが緩慢で😁 また、獅童さんのマトリックス(背中をスローモーションで水平に反らせるやつね)や彌十郎さんの「オンベレブンビンバ」に大笑い。猿弥さんたち一行は今月まで南座でやっていた「新・水滸伝」の役を入れ替えて登場。隼人の役を猿弥さんが演っていて「京都で食べすぎて太っちゃったー」と😂 閻魔さまは台本棒読み、寿猿さんは手に堂々とカンペでしたね😊

 実は今回の俳優祭、昼と夜の両方に行くことができたんですが、この芝居に関しては昼の部の方が、セリフや相手の名前を間違ったり(役者同士でオタオタ💦)、段取りがもたついたりで面白かった。冥土のメイドたちが踊るんだけど、昼の部では、普通に観ていたらリーダーの?米吉が客席に向かって「手拍子しなさいよ!」ってキレちゃって😅 夜の部は最初から手拍子が起こったんだけど、もう一度キレたとこ観たかったかも。とにかくホント楽しかったです。

 

「お楽しみ模擬店」(企画・構成 又五郎/彦三郎)

 さて、俳優祭の醍醐味はなんと言っても幕間(1時間くらい)に開かれる模擬店ですよね。今回は「菅原伝授手習鑑」が終わってからありました。売り子をされてる役者さんからグッズや食べ物を直接買ったり、握手やツーショット、役者さんによってはサインをおねだりしたりと、素顔の役者さんたちと間近でわちゃわちゃ接するあの興奮は格別です。お店に入っていない役者さんはフロアをウロウロしていたりするので、ちょっとお話ししたりツーショットお願いできたり。今回は役者さんたち基本的にマスク着用だったので、ぱっと見では誰が誰やら分からないことが多かったのが、なんともね……。

 

 

 

①昼の部の開場直後のようす

②成田屋さんたちが俳優祭公式グッズを売っているコーナー

③なぜかすっごく楽しそうな愛之助さん(このあと閻魔さま演るんですよ)

④たこ焼きとフランクフルトを売っている、向こうから彌十郎さん、菊之助さん、丑之助くん、手前は児太郎くん?

 

 フィナーレは全員が舞台に揃い、仁左さまのお言葉と音頭による手打ちで終わりました、もちろん私たちも一緒にタタタン👏……しました。

 俳優祭には今まで数回行ってます。私が参戦し始めたのはインターネットが一般的になる前で、チケットは電話での受付だった(歌舞伎座の窓口でも売ったかな?)。当日券として補助席が出たので、電話しまくっても買えないときは、始発で出かけて歌舞伎座に並び取れたこともあったな。消防法の改正により補助席は出さなくなりましたね。往復ハガキで申し込んで抽選という時期もあった。「当選」というスタンプが押されたハガキを手にしたときの喜びといったら。

 チケットは役者さんの後援会にも一定数を配っているようですが(後援会内で抽選とか、懇意にしているご贔屓さんのみとか、いろいろらしい)、私はそういうのにはご縁がなく……。今回は発売日に用事があったためチケ取りに参戦できなかったのですが、幸運にも昼・夜とも譲っていただきました(定価です!)。感謝しかありません🙏

 

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