新国立劇場バレエ「コッペリア」@オペラハウス | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

振付 ローラン・プティ

音楽 レオ・ドリーブ

米沢唯/速水渉悟/山本隆之

 

 2月20日の週にパリ🇫🇷遠征して、オペラ座バレエ「パトリック・デュポンへのオマージュ」公演を観てきました。その感想は改めて書こうと思っています。今回は、帰国後滑り込みで観ることができた新国「コッペリア」の感想。とっても楽しかったです~🎊

 

 スワニルダは米沢唯さん。プティ版「コッペリア」は洒脱で粋でパリのエスプリの効いたお話で、そこに登場するスワニルダはちょっと蠱惑的な雰囲気のある女の子で……と、日本人ダンサーにはなかなかハードルが高いと思うのですよ💦 米沢さんも、持ち味からしてそうしたコケットさは薄味なのだけど、逆に、活発な可愛らしさ全開、米沢さん独自のスワニルダ像になっていて、それはそれで魅力的。フランツがコッペリアに夢中なのを見てヤキモチ妬いたり、自分に振り向かせようとちょっかい出したりというやり取りや、コッペリウスに対してイタズラ心を起こすところなども、嫌味がなくてとっても自然。最後、人形を抱えてしょんぼり現れたコッペリウスにも過剰な同情は見せず、フランツに呼ばれてさっさと離れていくサバサバ感も、米沢さんだと、そうだよね😅と納得してしまう。

 ダンスは自在で、ポワントテクニックはさすがの軽やかさ。人形ぶりからコッペリウスを翻弄するところの切り替えも痛快、最後のダンスではエレガンスぶりも見せてくれました。振付でいつも気になるのは、スワニルダがコッペリウスの魔術本を足で踏んづけるところ。どういう状況だろうと、本をあのように扱うのは胸が痛むなー😔

 

 フランツはこれがロールデビューとなる速水渉悟くん、適役でした。登場した時の押し出しが良くてカッコいい。タバコを吸う姿もそこそこサマになっている。そして爽やかなモテ男っぷりが板についている😎 街の女の子たちの人気者なんだろうなと思わせるし、スワニルダが自分に夢中なの分かっていて、少しくらい他の子といちゃついても平気という、根拠のない自信があるのも感じられます。コミカルな演技も頑張っていました。コッペリアにラブコールをするんだけど無視されっぱなしで「なんで俺になびかないんだよー💨」と言う感じ、うまく出ていたなー。欲を言えばもっとお調子者風にはっちゃけても……というか、自信過剰気味にカッコつけてもいいんですけどね。

 そしてなんといってもダンスが! あの跳躍の高さ、空中で見せるポーズの美しさ。すばらしいロールデビューでした👏

 

 コッペリウスは絶対に山本隆之さんで観たかったので、それが叶えられて満足です。ここでのコッペリウスは、プティお得意の「女性に翻弄され破滅していく男」なわけで、そういう男性は、独特の美学を持ち合わせた自己満足的没入型という濃い目のキャラである方が面白いですよね。そういう意味で山本さんはコッペリウス像を的確に体現していたと思う。ただ、今回の公演では、心持ちコミカル味が濃くて、スマートな気取りが抑えられていたように感じました。

 山本コッペリウスの魅力は、圧倒的な表現力と美しいダンス✨ セリフが聞こえてきそうなマイムは指先までエレガントで、彼のスワニルダに対する叶わぬ思慕、それをコッペリア人形に託して幸福感に浸る(ちょっと異様だけど)その気持ちが十分に伝わってきます。コッペリアとの束の間のダンスシーンはいつ観ても圧巻。音楽に乗って緩急のリズムを取る足捌きは優雅で、人形の扱いにも愛情がこもっていて、何か切なくなってきてしまう。そしてラストですよね。とても残酷だけど、セ・ラ・ヴィだよねー、と思う。その哀愁感が余韻を残しました🥺

 

 スワニルダの友人6人、それぞれちょっとずつキャラ作りに違いがあって工夫が見られた。その中でついつい目が引き寄せられる人がいて、どうやら直塚美穂さんという方らしい。クルクルと変わる表情がとぉーーーってもキュートで、それが全く不自然じゃない。そういう演技をしているのではなく、本当にプティの世界にいてスワニルダのお友だちになりきっている。ダンスも大きくてよかったです。

 

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