シネマ上映 英国ロイヤル・バレエ@英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

 来月に映画館上映される英国ロイヤル・バレエ公演の試写会に行ってきました。今回はトリプル・ビル。3つとも1960年代の作品で、「この時代にロイヤル・バレエが国際的に知られるようになったので、とても思い入れが強い」とケヴィン芸監。

 ちなみに3つ目のヌレエフ版「ライモンダ」だけど、ヌレエフによる全幕振付版は1975年にABT、1983年にパリオペに振り付けられています。でもヌレエフはそれより前の1960年代に第3幕のみ抜粋振付し、それをロイヤル・バレエ・ツアーリングカンパニーが各国で単独上演したそうで、今回上演するのはそのときの作品です。

 ということで新鮮さはないけど、抽象バレエ→ナラティヴ・バレエ→古典と、それぞれ個性が違う、変化に富んだプログラムになっていました。

 

「コンチェルト」

振付 ケネス・マクミラン/音楽 ドミトリー・ショスタコーヴィチ

 コレ、大好きな作品です。マクミランは抽象バレエも独創的な振付け。クラシック味が薄く、既視感があまりなくて、ダンサーたちの音楽性と正確なテクニックが要されますね。

●第1章(アナ=ローズ・オサリヴァン/ジェイムズ・ヘイ)激しく素早いステップがたたみかけるように続き、スピードと躍動感に溢れていて、音符が弾んで見えるよう。2人のリズムに乗ったキレのある踊りがよく揃っていて気持ちよかったな。

●第2楽章(ヤスミン・ナグディ/平野亮一)一転してゆったりした曲。バーレッスン風景にインスパイアされて作ったらしい。ヤスミンの情感溢れる繊細なダンスがとてもよかった✨ 弾力のある背中の動きが綺麗で、伸びやかな手脚が優雅。主としてサポート&リフト役だった平野さんも安定感あり、2人のハーモニーが絶妙。ダーシー・バッセルが2人を「完璧!」とベタ褒めしてました😊

●第3楽章(マヤラ・マグリほか、群舞を含む全員)群舞とペアとソロの踊りが次々と淀みなく繰り広げられ「楽譜の上を走り回るような」という表現をダーシーが使っていたけど、まさにそんな感じで、舞台に活気と熱気が溢れました。欲を言えば、群舞の統一感がもっとあったほうが綺麗なんだけど😬  それでも塊としてのダイナミックな動きが心を浮き立たせる、壮大なフィナーレでした。

 

「エニグマ・ヴァリエーション」

振付 フレデリック・アシュトン/音楽 エドワード・エルガー

 エルガーがこの曲を作った時(1898年)のドラマを描いたバレエ。当時のエルガーはまだ知名度が低く自信喪失気味。この日も、自分のこの曲を指揮者ハンス・リヒターが受け入れてくれるかどうか、彼からの電報を不安げに待っています。で、その間、妻と友人たちが彼を励ますというもの。最後にリヒターから朗報が届き、皆で喜び合って終わり。エルガーによれば「エニグマ/謎」とは友人たちのことだそうです。

 美術はイギリス人お得意のリアリズム手法で💦  ヴィクトリア朝後期のセット(エルガーの自宅)と衣装。プロットはなくて、14人のキャラが次々と現れてダンスを見せる、スケッチ集みたいな感じ。各人物のダンスはその人の個性を表しているらしいけど、背景を知らなくても、純粋にダンスとして観られます。

 アシュトン独特の技巧的なステップ満載……とはいえ、各ダンス・パートが3分前後と短く、あっという間に終わっちゃうんで、印象に残らないパートも多いのね😑  マシュー・ボールは建築家の役、オールバックで口髭姿。ぶっきらぼうだけどエネルギッシュという性格で、素早い難技ステップと超高速ピルエットを見せて竜巻のように去っていきました💨

 クリストファー・サウンダーズ(エルガー)とラウラ・モレーラ(その妻)とベネット・ガートサイド(音楽出版者)のダンスが温かみを感じさせて良かった。特に、夫を優しく気遣うモレーラの情感のある表現が素晴らしい👏  でも作品全体としては、まあ何というか、10年ぶりの上演だそうで、個人の感想としては、そんなスパンで十分かな〜と😔

 

「ライモンダ」第3幕

振付 ルドルフ・ヌレエフ(原振付 M.プティパ)/音楽 アレクサンダー・グラズノフ

ナタリア・オシポワ/ワディム・ムンタギロフ

 これは気分が盛り上がったー!🎉 異国風味の強い音楽や衣装もいいよね。オシポワは気品やエレガンス味は薄いけど、艶やかさをまとったキュートな王女さまという感じ。しなやかで粘りのあるダンス、特にポワントがとても強くてパキパキしたステップ(褒めてます🙇‍♀️)。ヴァリではけっこうタメを作って威厳を振りまいていました。

 ワディムが毎度のことながら素晴らしくて〜😂  あの忙しいステップをエレガントに決めまくる。もうダンスの神。マネージュしながらジャンプ→着地後すぐに回転してピタリと止まる(バレエ用語知らない😄)とかね、コントロール・テクが凄いです。

 片手リフトは、一度目は決まったけど、二度目は真上に上がらず、途中で下ろしてしまった。オシポワ重いのかな?🙄 体系がタマラ・ロホにそっくりだと思った……。

 チャルダッシュを踊ったリース・クラーク、ほんとスタイル良し、脚長し、背高し、お顔も良くて、目立つっ! 踊りもそつなくこなしていた。第一ヴァリを軽やかに踊った金子さんは華があったなー🌟  パ・ド・カトルではコラレスが踊ってました。他の3人よりパワーとキレがほんの少し上を行っているので、自然と目が行くね。スピードがあるしピタリと止まるときも気持ち良い。終盤の群舞のダンスも壮観で、ダンサーたちが舞台を埋め尽くす光景に胸がいっぱいになりました🎊

 

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