■生き神様が人生の指針
本当は生き神様なんて名前ではありません。誰もそんな呼びかたをしていません。そもそも今は亡くなっておられます。私が勝手に今回呼んでいるだけです。
私が高校生ぐらいに信者になり、入信、傾倒した新興宗教の先生です。今でこそ、教祖様であらせられるはずですが、当時は苗字と先生で呼ばれていました。
母親が私の子供の頃から一人で入信していたからであり、何でも当ててしまい、何でも改善してしまう先生のお力があまりに不思議すぎるので、そろそろ社会人になる私を連れて行ったら面白いかもと考えたようです。
母は私が高校や大学、会社を受験しても「通ると」いつも先に結果を知っていました。生き神様に聞いていたようです。
「あの時より、もう30年以上も経つのかと感慨があります」
初回は酷いものでした。先生の手の動きや、時に呼吸に合わせて踊り出す人が続出。
「おふくろ。あんなインチキ辞めちまえ」そう話したものです。
ですが、お話はぶれずに簡単な話でも奥が深く、理解が足元の先の先まで及ばない高等なものでした。
聞けば高名な医者や僧侶、プロの占い師、足しげく通う国会議員や企業家なども信者に多いとの事。
先生が凄かったのは相手が医師や科学者、エンジニア、宝石屋、音楽家、ダンサーであろうとも「誰をも教えることのできる知識量」でした。
歴史においては学校で学んだこととは全く違うお話でしたが、過去の人間と話すことのできる先生に言わせれば「残っている歴史など、作り話や嘘が多すぎ、呼び出しても浮上しない。つまり、存在しない偉人の名前や逸話が残っている例などがかなり多い」などもお話でした。
その実際には存在しない人物達の名前に私はかなり衝撃的に驚きました。そして「存在しないと分かれば、それまでその偉人に対して、今まで私の疑問点であったものがすべて解決する」とも後に理解しました。
また、とても良い人として逸話が残る偉人が「実はどうしようもない悪人だった」などというお話が聞け、面白いものでした。さらに面白いのが、ある偉人を呼び出すと「我こそが」と六人出て来たそうです。自分がそうであると生涯信じて生き抜いた人達です。この逸話がそれぞれ後世に残ったりするので、歴史の混乱を生んだりする場合も有るのだろうと思いました。
生き神様は最新医療や科学も良くご存じで、何よりも未来が見えておられる感じでした。いや我々と違って未来が見ることが出来たのでしょう。
若いころの修行でこれらの超能力を得たとの事でした。しかし、それには神代からの王統としての魂の引き継ぎを得ているからこそとのことです。これは年齢、男系に関係なく、跡取り、長男から長男ではなく、女系の例えば、姪などに魂が飛ぶ場合があると。
実際の魂の移管は遺伝的決まりによるというお話でした。
これは神代からの王統などには関係の無い普通の家庭でもそうで、「人間が転生してもキツネやミミズになったりはしない。ましてや物質であるイスや割り箸など、遺伝的に違うものにはならない」などともお話されていました。
これは奇をてらった話で恐怖心をあおり、信者を手にしていく手法とは異なり、やり方としても申し分無いものでした。
幽霊や宇宙人の話では「別に気にしなくてもいいから、両方ここにも来てるし」程度のお話で、そこから不思議さを作ったり、恐怖心をあおったりはされませんでした。
「ん~なんか本物っぽいよなあ」
しかしながら、私にはどうも信者が踊るインチキが余計に見えました。
辞めろと言っても、インチキと言っても、いつも私には弱い母が、なぜか普段と違い余裕の笑みで私を見ていました。
「おい。インチキに行くか」そう二回目に母に言われた時に「行く」と二つ返事で返していました。
二度目か三度目に「これはしばらく勉強してみよう」と思ったのは、私の体が勝手に動き出したからです。止めようと思ってもそう簡単には止められない。そして、止めると気持ちが悪いので解放していると動いてしまう。
母は踊りだそうとする私の後ろで「おいインチキ。どうしたインチキ」と笑っていました。私は、ばつの悪そうな顔で母を睨むしかできませんでした。
母は「ここに行けば悪いところが分かりやすい。なぜなら普段は痛くなくても腰にストレスが掛かっていれば、お話を聞いるだけで腰が痛む。そしてそのまま抜いてもらえれば実際の病気にはならない。
放置すれば腰がそのまま悪くなる場合も有るし、その影響で別の所に病気が出たりする。そして、どこがどう悪くなるか、どれほど強いものなのかは、遺伝よりもどんな感情が本人にあったかだ。病気は本人の普段の感情が一番大きく関わる」と話しました。
「心が病気に影響するだと。そりゃあ、昔から病は気からとは言ったが、病気の場所や症状、強さが普段の感情で事前に分かるだと」
今でこそ、この分野の研究が少しは進みましたが、当時は異例すぎる意見でした。
母は「何でも因果応報。結果が出るには必ず原因がある。そして、表裏一体。調和の原則で世界は動いている」と話しました。
直ぐに「科学的には」と言っていた私に「どういうこと」と何でも聞いていた母が、その日より私の先生になりました。
以来、母子で休みの日ごとに通いました。
そして今まで聞いて来たことも教えてくれました「カニの甲羅は漢方薬のサイのツノと同じような効能なのに、それより効くらしいよ。将来は成分が薬になるみたい」とか色々と。
「トマトは不思議な栄養素が多く有って、将来的には健康食品になるそうだよ」
「カリウムがあるぐらいの水だらけの大したことのない野菜じゃないか。何も発見されてはいないよ。栄養素なんか。食い方も限られているし」。
それが、後々どんどん注目されるようになるとは、30年以上経ってまだ驚くお話です。
確かにトマトは異例の植物で、野菜なのに人間より遺伝子が多いらしい。私は、これは「神が人間に特別に下されたもの」であると思っています。「アダムとイブのリンゴは実はトマトであったのではないか」とまで。
ともあれ、母は「どこかが痛くなった」とは言わず、単にインチキ呼ばわりをして悪態をつく私を見て「この子は心が悪かったんだ。それもやがて直ぐに治る」と思ったそうです。
生き神様のここが凄かった。
あることが最も驚きました。当時はまだバブル。土地を買って何か建て、転売するというのが流行していました。又は、この機に新築の家に住みたいと。
ところが生き神様は「今は駄目」「そこは駄目」「駐車場なら良い」「古いままで住みなさい」「買ってもいいが何も建てずにそのまま早めに売りなさい」と言う話ばかり。
「単に景気のいい話がお嫌いみたいだ」「あの人は商売の邪魔がしたいだけだ」という悪評が立つぐらいでした。
その上「仕事には今の時間より一時間早く、朝4時には家を出なさい。家で寝ていてはいけない」などと言われる飲食店の店主なども居ました。
「先生は厳しくなって、いったいどうしてしまったのだろう」。それから一年ぐらい。
ある年の正月に、当時は東京で働いていた私は帰省した休みを利用して行きました。
もう老人の域に達しておられたのに、壇上の高い椅子の上に立って「グラグラ。グラグラ。グラグラ。気を付けてくださいね」と。
「なにをやってるんだ」。その時には「尊敬していた先生が壊れてしまった」と思いました。
ですが、その時期、私なりに勉強した見たことも無いような天変地異の怖い相が、月に出ていました。「何かある」。
そして、東京に戻って直ぐに、阪神淡路大震災が起こりました。あの「グラグラ」はこれの表現だったのか。
お教えには従わず、無理にビルや家を建てた人は全部倒壊。多くの犠牲を払う事となりました。
そして、家で寝ていないはずの飲食店の店主は、その日に限ってなぜだかかなり出勤を遅らせ、壊れた自宅の下で亡くなっていたということでした。
何年も前から「大きな地震が来ます」とは言わず、大ごとにならぬようみんなを一人一人個別に導いておられた。こんな業は誰にも出来る事ではありません。
生き神様は「こんなものを見る時は次にこうなるから気を付けて」とか「こうゆうことをすると事態がこう変わるよ」とか、という話や「何を食べたら運命がどうなるよ」などと言う話もよく話されておりました。これは今も役に立ちます。
母は晩年まで信者でしたが、病気の為通えなくなり。没前ギリギリ数か月までは名前だけは教団に置いていました。私が今回癌告知を受けた一年二か月ぐらい前です。
生き神様が残された教団には、昔に信者の証を無くしてしまった私にとって入信が出来ずにとても残念に思いますが、あの頃とは、通う人も内容も変わってしまったらしいですが唯一行っている人に聞いたり、母の遺品の中からの当時記録していたお話を頼りにしたりで、私に残った少ない教えを今の病気治療に役立てたいと思っております。
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