但しまあ,すでに自分は田舎に住んでいるんだというコンプレクスを感じ始めていたことだけは確かだ。いつかの機会に「福岡はジャンプ月曜日だよ」ということを得意げに叔父さんが語ってくれたことがダメ押しとなった。宮崎なんて福岡のすぐそばじゃないかよ。
でもね,ジャンプコミックスはせいぜい発売日の翌日である。休みの関係でせいぜい翌々日である。せいぜい翌々々日である。数回ネンネすれば確実に手に入るのだ。それが当時のスカウターは違った。発売日から一週間たっても二週間たってもまだ店頭にならばない。スカウターぐらい,何かのついでにひょいっと飛行機に乗っけて羽田から宮崎空港に届けておくれよバンダイさん。ギニュー特戦隊はジースがケースに入れてフリーザにひょいっと手渡ししていたぞ。玩具もジャンプコミックスのように,せめて発売日の翌日にはならんでいて欲しい。一週間も二週間も音沙汰なし,しかも宮崎市内のどのデパートもスーパーも取り扱っていない。これではあまりにツラい。当時ネットがあったら,きっと「バトルスカウター 福岡 もう売ってる」などという検索語を入力していたかもしれない。きっと当時も福岡のデパートには売っていたのだろうと思うとうらめしい。
宮崎では,まるでジャンプの告知なんかなかったかのように日々は過ぎていき,明確なイメージを伴ってインスピレーションを感じていた私はオオカミ少年呼ばわりされるようになった。当時深く傷ついたことを覚えている。
スカウターに限らず,ちびっ子に絶対的な人気を誇るキャラクターのグッズを販売するのであれば,何度も繰り返すけれども,それはちびっ子達にとっては驚天動地の出来事なのだから,少年誌はキチンと紙面をさいて,地域ごとの詳細な入荷日を書くべきであろうと冗談交じりにではあるが思ってしまう。