進行乳がんの中には、
「Stage Ⅳ (ステージ4)乳がん」
があります。
その他に
「再発乳がん」
や
「切除不能乳がん」
があります。
再発乳がんの中でも、
「局所再発乳がん」
と
「遠隔転移再発乳がん」
とがあります。
今回はその中でも特に、
「ステージ4乳がん」
と、
「遠隔転移再発乳がん」
について、少し深く掘り下げたいと思います。
時に乳がんの治療を受けられている方々のブログ等で、
「初発ステージ 2、手術から5年後に肝転移発覚。ステージ 4になりました。」
と言う記載や、それに似た様な表現を目にします。
この表現は誤りです。
初診時にステージ 2 (Ⅱ)の診断が確定していれば、その後に再発してきたとしても、基本的には病期(= Stage)はステージ2 (Ⅱ)のままです。
再発乳がんにステージはありません。
唯一ステージが変わる可能性があるとすれば、初診時に行っていた検査の所見の見落としで、後から良く見たら、明らかな転移が確認された、と言う場合にはその時点からStage Ⅳに訂正して治療を行うべきかと思います。
生物学的にも、無治療のStage Ⅳ乳がんと、治療後に遠隔転移してきた再発乳がんとは異なると考える方が自然です。
何故なら治療、特に薬物治療が行われている最中の再発乳がんは、明らかにその治療に対する耐性を獲得しているからです。
治療前のStage Ⅳ乳がんは、どの様な治療が奏功し、どの様な治療に耐性かは全く分かりません。
行われている治療に耐性を獲得しているかいないかで、その後の治療は異なります。
ただ多くの治療抵抗性は不可逆性ではなく、可逆性であると考えています。
全ての治療に対してDNAレベルで抵抗性を獲得してしまったら、おそらくはどうする事も出来ませんが、画像や治療経過から、
「可逆性の可能性がある治療抵抗性」
は何とかなると考えています。
まとめますと無治療のStage Ⅳ乳がんは何とかなる可能性が高く、既に様々な治療を施されたStage Ⅳ乳がんや、治療中の再発や増悪、治療終了直後の再発は、根治を目指した治療の観点からは厳しい状態である可能性が高いかもしれません。
少なくとも私は進行乳がんをその様に捉えており、根治を目指したいなら、今現在が命に関わる状態かそうでないかではなく、出来るだけ治る可能性が高い間に、根治を目指した治療を行なう様にしています。
