ここからは割とざっくりな内分泌療法耐性の話 | the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

閉経後乳がんで多く使われる薬剤にアロマターゼ阻害薬 (aromatase inhibitor: AI)があります。


レトロゾール (letrozole)、アナストロゾール (anastrozole)、エキセメスタン (exemestane)の3種類が日本で用いられています。



これらを長く使用して、耐性を獲得した乳がんにESR1の変異が高頻度に起こる事が報告されています。



これは、genetic changeなので、不可逆的な変化です。


つまりは、一旦遺伝子変異を起こせば、2度と元に戻らない耐性と考えられます。



それ以外には、さまざまな内分泌療法薬を投与した乳がんの94%でBCRPと言う、P糖蛋白の一種である多剤耐性遺伝子の発現が上昇して、薬剤耐性を獲得する経路があります。



これは、なんの理論的根拠もない、あくまでも私の感覚ですが、epigenetic changeによるのではないかと感じています。


つまり可逆的な変化と感じています。


かなりざっくりな話で申し訳ありません。



そして、フェソロデックス (fulvestrant)に対する耐性の一つに、ヒストンを介したepigenetic changeが確認されています。



これは言わば可逆的な変化です。


つまりは、フェソロデックスに対する耐性はある方法によって解除出来る可能性がある、と言う事です。



そして、それが可能な方法は既に存在します。


それを以前に見つけていたのですが、乳がんに対する保険内使用は認められていません。



いつかルミナルタイプの乳がんに使える様になれば、さらに無病状態に到達出来る方が増えるのでは?と考えていました。



実臨床の現場で使える様になるにはまだまだ多くの時間が必要と思われますが、それを乳がんで使える様に模索し始めている動きを耳にしました。



これもかなりざっくりとした話で申し訳ありません。



ただ、フェソロデックスに対する耐性を解除する鍵を、私以外にも気付いている人が居ると知って、思わず一人で嬉しくなった、と言うだけの話でした。