乳がんに限らず、どのがんでも同じかもしれませんが、
がんになられると、
「食事でがんが治せる。」
の様な類の本にどうしても目が行きがちになるかもしれません。
前向きな気持ちをお持ちの方は、確かに「がんを治すために自分で何か出来ないか。」、とお考えになられる方は多いと思います。
少し後ろ向きの方は、「これまでの自分の食事が悪かったから、乳がんになってしまったのかもしれない。がんになったのはこれまでの自分が悪いからだ。」と考えられるかもしれません。
「乳がんにならない様にするにはどんな食事が良いですか。
何かお勧めの食事は有りますか。」
と、以前から良く聞かれていました。
出典は無いのですが、その様に聞かれた際には、昔ある統計学の先生の講演で聴いた内容を、これまで良く伝えて参りました。
それは、およそ48,000人程の日本人を対象とした前向き観察研究の結果です。
その観察研究では、「①毎日緑黄色野菜を摂る人は、摂らない人と比べて、乳がん発症率が1/2に低下する。」と言う事でした。
また、「②毎日味噌汁を飲む人は、飲まない人と比べて、乳がん発症率が1/2に低下する。」と言う事でした。
それでは、「③毎日、緑黄色野菜と味噌汁を摂る人は、両方摂らない人と比べてどうなるかと言うと、乳がん発症率は 1/4に低下する。」と言う内容でした。
大豆と醗酵食品が良いのでしょうか。
確かに食の欧米化に伴い、日本の乳がん発生率は上昇し続けています。
またそれに伴って、日本人が味噌汁を飲む機会は減っていると思います。
しかし、緑黄色野菜や味噌汁を毎日摂っていても、乳がんになった方を治療した事があります。
つまり、大切な事はこれらを摂っていても乳がんになる時はなります。
必ずしも、自分が悪いからでも、食事が悪いからでもありません。
また、これらを摂ったからと言って、転移・再発した乳がんが治る事はありません。
そして、もう一つ重要な事は、これらを摂ったからと言って、乳がんを発症した方の再発を抑える事は出来ません。