ルミナルタイプ(ER+, HER2-)閉経前乳がんの治療薬として、抗エストロゲン製剤のタモキシフェン(tamoxifen, ノルバデックス)が広く用いられています。
これと似た作用と効果を示す薬剤で、ルミナルタイプ閉経後乳がんの治療薬として、トレミフェン(tremifen, フェアストン)があります。
2剤の効果は同じです。
違いは、
①タモキシフェンは子宮粘膜細胞に遺伝子変異を引き起こし、子宮体癌の発症リスクを高める作用がありますが、トレミフェンにはその作用はありません。
②タモキシフェンは脂質代謝に作用し、高脂血症や高コレステロール血症のリスクを高めますが、フェアストンにはその作用はありません。
③②が持続する事により、タモキシフェンには高度の脂肪肝を発症するリスクがありますが、トレミフェンにはありません。
が挙げられます。
明らかに、タモキシフェンよりトレミフェンの方が副作用が少ない事が分かっています。
しかし、いまだにタモキシフェンは広く用いられています。
それは何故でしょう。
「閉経前乳がんに使える内服薬はタモキシフェンしかないからに決まっているだろう。」
と仰られるかも知れません。
しかし、随分前に現厚生労働省から、「閉経前乳がんにも、トレミフェンを投与しても良い。」事が、通達で示されています。
よって保険請求において査定される事もありません。
なので私は、子宮体癌のリスクが高い方、高脂血症の方、高コレステロール血症の方、脂肪肝の方には、トレミフェンをお勧めしています。