あるルミナルタイプ乳がんで転移再発された方がお越しになられました。
「貴女の命は持ってあと3年です。」と主治医から言われたとの事でした。
次(3次治療)も内分泌療法をすると言われ、化学療法を希望したが聞き入れてもらえなかった、との事でした。
(実はこの主治医はとてもご高名な先生で、私も良く存じ上げている先生でした。患者さんからの一方的な情報でしたが、その当時、あの先生がそんな事言うんだなぁ、と思ったものでした。)
主治医は内分泌療法、患者さんは化学療法を希望されていました。
私はどちらをしたでしょう。。?
患者さんは、根治を希望されていました。
私は内分泌療法も化学療法も行わず、先ず画像検査を徹底的に行いました。
根治を希望される患者さんには、先ず画像検査をしっかりと行います。
私の、転移再発乳がんに対する根治を目指す治療戦略では、「転移巣の血流」を再重要視します。
血流が乏しければ、
①どんなに素晴らしい薬剤もデリバリーされない(腫瘍に薬剤が運ばれない、到達しない)。
②たとえ薬剤が転移巣に到達したとしても、低酸素、低栄養状態によるがんの悪性化=薬剤耐性、放射線耐性を獲得し、薬剤が効かない(あるいは効きにくい)。
にほぼ陥っています。
この患者さんの再発転移巣は完全な無血流領域が存在していました。
つまり、3次内分泌療法を行なっていたとしても、①薬剤は到達していませんでしたし、②薬剤耐性を獲得しているので、奏功していなかったと推察されました。
と言う事で、この患者さんの「勘」は見事に的中していたなぁ、とその当時私は感服していました。