悪性度の高いがん細胞を、ある程度の数をまとめて細かい穴が開いた薄い袋に入れたとします。
その穴からは水分や栄養、細かい分子等は出入り出来ますが、がん細胞は絶対に袋の外には出る事が出来ない程の穴です。
そのがん細胞が入った袋ごと、
マウスに移植するとどうなるでしょうか。。
がん細胞は増え続けます。
2mmを超えて、その個体が生き続けている限り、
永遠に増え続けます。
しかし、がん細胞は袋からは出る事が出来ません。
それ以外に見られる現象があります。
それはいったい何でしょう?
がん細胞の入った袋に向かって、
細かい血管が延びてきます。
それが、最大のポイントです。
どんなに悪性ながん細胞を生体外で臓器に移植して、充分な栄養を与え続けても、がん細胞は1, 2mmまで増殖した時点で、成長が完全に止まってしまいます。
充分な栄養を与えても、それ以上成長する事は出来ません。
しかし、生体内で移植すると、
がん細胞に向かって、血管が延びてきて、
成長し続ける事が出来る様になります。
つまり、がんが人の命に影響するまで大きくなるには、
血管新生が必須なのです。
と言う事は、がんの血管新生を上手くコントロールする事が出来れば、、
多くのがんで命を落とす事は無くなるかもしれない、
と考えられます。
私の目指す「進行乳がん(切除不能・転移・再発乳がん)の根治を目指した治療」の根本を成す戦略はまさにこれです。
この事実を見つけた瞬間から、
私の、進行乳がんの根治を目指した治療の開発が始まりました。