こんばんは、はるとです。
きょうも、ひとりぶんの転職の話をさせてください。
思い出したのは、30歳の女性のこと。
葬儀会社に勤めていた人です。
大切な人を失った直後のご家族を、支える仕事だったそうです。
突然のことで、何をどうすればいいのか分からない方も多い。
手続きの案内、式の内容の相談、故人らしい見送り方の提案。
悲しみの真っただ中にいる人たちに、できる限り丁寧に向き合っていたといいます。
研修では、こう教わっていたそうです。
「ご遺族の気持ちを、いちばんに」
どんなに忙しくても、急かさない。ひとりひとりの悲しみに、寄り添う。
その言葉を、大事にしていたといいます。
そんな彼女の祖父が、亡くなりました。
共働きの両親に代わって、育ててくれた祖父母だったそうです。
夏休みはいつも一緒。自転車の乗り方も教えてくれた。就職が決まったときも、誰より喜んでくれた人でした。
母親からの電話で、頭が真っ白になったといいます。
上司には、こう伝えたそうです。
「祖父が亡くなったので、葬儀のためお休みをいただきたいです」
上司は、まずシフト表に目を通したといいます。
「今週、葬儀が三件も入ってるんだよね」
「代わりに入れる人、いないんだよなあ」
「家族なので、どうしても出席したいです」
そう伝えると、返ってきたのはこの言葉でした。
「うちの仕事してるんだから分かるでしょ」
「担当がいないと、式そのものが回らないの」
「家族のお葬式も、お仕事のお葬式も、どっちも同じくらい大事だよね?」
意味が飲み込めなかったといいます。
どちらも同じくらい大事だと言うなら、なぜ自分の祖父だけが後回しにされるのか。
上司は続けて、「通夜だけ顔出して、告別式は出勤できない?」と言ったそうです。
祖父の見送りを、仕事の合間に済ませろと言われたようなものです。
彼女は迷ったといいます。担当中のご遺族がいる。抜ければ迷惑がかかる。人手も足りない。自分もこれまで、同僚の穴を埋めてきた。
結局、通夜だけ参列することにしたそうです。
告別式当日の朝、彼女は別のご遺族の前に立っていました。
いつもどおり、丁寧に接していたそうです。
祖父の告別式が、同じ時刻にどこかで進んでいることを、頭の片隅で感じながら。
式が終わったあと、母親から短いメッセージが届いていたといいます。
「おじいちゃん、最後まで待ってたみたいよ」
返信を打つ手が、しばらく止まったそうです。
面談での第一声は、「あの日のこと、まだうまく消化できていません」でした。
私は、こう聞きました。
「あなたが担当したご遺族の悲しみと、あなた自身の悲しみ。会社はどちらを選びましたか」
彼女は答えを持っていました。ただ、口にするのがつらそうだったといいます。
——ここが、いちばんの分かれ目でした。
「どちらも大事」という言葉は、公平に聞こえます。
でも、実際には一方だけを我慢させる場面で使われるなら、それは公平でも何でもありません。
人の悲しみに寄り添う仕事のはずが、社員自身の悲しみだけは置き去りにされる。その矛盾に、彼女は気づいていたんです。
彼女が次に選んだのは、社員の慶弔休暇を有給とは別枠で用意している葬祭会社でした。
働く人自身の悲しみも、業務のひとつとして想定されている職場です。
年収は、ほとんど変わっていないそうです。
面接であの日のことを話すと、担当者はこう答えたといいます。
「社員のご家族も、うちにとっては大切なご遺族です」
その一言で、決めたそうです。
大切な人を見送る日が来ても、いまはためらわずに休めます。
一年ほど経って、彼女はこう言っていました。
「祖父のお葬式は、もうやり直せません。でも、次に誰かを見送るときは、最後までそばにいられます」
いま、誰かの悲しみに寄り添う仕事をしながら、自分の悲しみは後回しにされている、あなたへ。
「どちらも大事」という言葉が、あなたの我慢の上に成り立っているなら、それは公平とは呼びません。
大切な人を見送る権利に、後回しにしていい理由なんて、どこにもありませんよ。
では、また明日。
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【今日のブログのおまけ】
「自分の悲しみも守られる職場の見分け方」は、私が本業で運営しているサイトにまとめています。
元面接官として、転職サービスを実名で辛口レビューしています。
よかったら、のぞいてみてくださいね。
・人に寄り添う仕事で、自分は後回しにされている人は
▼ 30秒でわかる転職サービス診断
https://jobshift.xsrv.jp/shindan/
・慶弔休暇がきちんと機能する職場を、じっくり見比べたい人は
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