こんばんは、はるとです。
きょうも、ひとりぶんの転職の話をさせてください。
思い出したのは、45歳の男性のこと。
最初に見せてもらったのは、不採用メールのフォルダでした。
22通。
書類で落ちた数です。
面接まで進めたのは、そのうち1社だけでした。
新卒から20年以上、同じ製造業の会社にいた人です。
役職は、課長。
部下は、7人。
辞めたい理由は、はっきりしていました。
勤め先が事業を縮小する方針を出して、彼の部署の廃止がすでに決まっていたんです。
彼はまず、自分で転職サイトに登録しました。
そして、22社に落ちました。
面接まで行った1社では、こう言われたそうです。
「うちは若い組織なので」
その帰り道のことを、彼はよく覚えていました。
駅の階段を上がるのが、やけに遅かったと。
応募は、毎晩していたそうです。
家族が寝静まってから、ダイニングでひとり、パソコンを開く。
同じ書類を、宛先だけ変えて送る。
数日して、同じ文面の不採用メールが届く。
理由は、どこにも書かれていません。
奥さんには、しばらく言えませんでした。
息子さんが、受験の年だったからです。
言えたのは、20社を超えたあと。
奥さんは、怒りませんでした。
ただ、こう言われたそうです。
「そんなに落ちてたの」
それが、いちばんこたえたと言っていました。
面談での第一声は、これでした。
「もう、年齢で切られてるんですよね」
私は、職務経歴書を見せてもらいました。
そこには、こう書いてありました。
——製造部門にて課長として、部門の管理業務全般を統括。
私は、質問をひとつだけしました。
「あなたを知らない採用担当者が、この一行を読んで、あなたに何ができると分かりますか」
彼は、黙りました。
——ここが、いちばんの山でした。
正直に言いますね。45歳の書類が通りにくいのは、事実です。
年齢を見ている会社は、あります。
でも、私が採用側にいたときの感覚で言うと、
落ちる書類のほとんどは、年齢ではない理由で落ちています。
何ができる人なのか、分からないからです。
20年いた人ほど、この落とし穴にはまります。
社内では、説明する必要がなかったからです。
「あの人はあれができる」と、みんなが知っている。
だから、言葉にしてこなかった。
私は、彼と一緒に書き方を変えていきました。
やったことは、翻訳です。
最初の1時間は、まったく進みませんでした。
「特別なことは、何もしていないので」
彼が、そればかり言うからです。
だから私は、質問の仕方を変えました。
この20年で、困ったことは何ですか。
それを、どうやって収めましたか。
そう聞いた瞬間、彼は急に、細かく話し始めたんです。
「管理業務全般」の中身を、こう分解しました。
3%あった不良率を、1年かけて0.8%まで落としたライン改善のこと。
しかもその手が、検査工程を並べ替えるだけの、一円もかけない方法だったこと。
退職者が続いていた班で、面談のやり方を見直し、次の年の離職者をゼロにしたこと。
数字と、やり方と、その結果。
同じ20年を、同じ人が、違う言葉で書いただけです。
彼は、書きながら少し戸惑っていました。
「これ、自慢しているみたいで恥ずかしいんですが」
私は、こう答えました。
「自慢ではなく、説明です。黙っていても伝わるのは、社内にいる間だけですよ」
書き直した書類で応募した結果は、こうでした。
11社に出して、5社が書類通過。
彼が決めたのは、中小の食品メーカーです。
大手ではありません。
年収も、前の会社とほぼ同じでした。
面接では、不良率の話を最初に聞かれたそうです。
どうやって順番を変えたのか。
現場の人は、素直に従ったのか。
反対はなかったのか。
ひとつ答えるたびに、相手の体がこちらへ寄ってきたそうです。
決め手は、その最後に出た一言でした。
「うちには、その改善をやれる人がいないんです」
その部屋では、45歳という数字の話が一度も出なかったと言います。
内定が出た日、彼は真っ先に奥さんへ伝えたそうです。
「そんなに落ちてたの」と言った、あの人にです。
返ってきたのは、短い一言だったと言いました。
「よかったね」
その日は、家で少しだけいい肉を焼いたそうです。
入社して数か月。
彼はこう言っていました。
「頼られるのが、久しぶりで戸惑います」
いま、年齢を理由に無理だと思っている、あなたへ。
年齢の壁は、たしかにあります。
嘘だと言うつもりはありません。
でも、その壁の手前で、多くの人がもうひとつの壁につまずいています。
積み上げてきたものを、社外に通じる言葉へ置き換えていない。その壁です。
20年分の経験は、消えていません。
社内でしか通じない言い方のまま、しまわれているだけなんです。
出す前に、一度だけ書き直してみてくださいね。
何を、どう変えて、どうなったか。
その3つを埋めるだけで、通る数は変わります。
では、また明日。
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【今日のブログのおまけ】
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