お向かいのCBさんはいまや一番仲がいいかもしれない。
今はバイク仲間でしょっちゅう一緒に走っているし、先日は庭木の移設の件でもお世話になった。
それにうちの子供もかわいがってくれていて、一緒に遊んだり、竹とんぼを作ってくれたり。
あと野菜とかも分けてもらったり、釣った魚をもらったり、何かとお世話になることも多い。
ここには10年以上先に住んでいた僕がそんなCBさんと仲良くなったきっかけは犬だった。
CBさんも引っ越してきてすぐに犬を飼いだして、犬の散歩とかで話すようになった。
CBさんの犬は黒い雄の柴犬で、ウチのパルちゃんみたいな雑種とは違い、しっかりとペットショップで買った犬だ。
名前はゲン、元気のゲンだったと思う。
ゲンはけっこう攻撃的で俺みたいな犬好きでも下手に手を出すと噛まれるし、声をかけると目の上に皺をよせて俺を威嚇したものだった。
ただ犬同士は仲良くて、平和主義なパルちゃんとは喧嘩することもなかった。
そして週末には耳掃除をCBさんがするとキャンキャン騒いで、ウチでは「動物虐待」って冗談を言っていた。
でもどの犬もそうなのだが、犬の加齢は人間より早いのでそれは残酷だ。
そんな元気でヤンチャだったゲンも15歳、最近は散歩もヨタヨタしてるし、手を出しても無関心、いつも下を向いてトボトボ歩いたりたまに歩かなくなっていたりしていた。
そして3連休の初日の土曜日にウチの物置の工事を見学に来た時に、家の中を徘徊してお漏らしをするというので、フレディーが幼児のときに使っていた可動式のゲージを貸してあげた。
また犬用にお尻にしっぽ用の穴をあけた幼児用おむつをパルちゃん向けにたくさん作ってあったので、それもあげた。
そう、6年前にパルちゃん用に作ってあったけど亡くなって不要になったものだが、まだその時にはゲンちゃんには早いので押し入れに保管してあったものだ。
そして土曜日の夕方に散歩している姿を見たが、途中でガクッとなってしまって戻ってくるのを見たが、その時にはまだかろうじて歩けていた。
日曜日にCBさんに会った時には、ご飯を食べなくなったと言っていた。
すごく心配そうでスポイトで水をあげたり、ドッグフードをふやかして流動食を作ったりしてるそうだった。
そして昨日の月曜日の朝、CBさんがまた工事の見学に来た時に様子を聞くと、もう立てなくなって自力で水も飲めないとのこと。
なので夕方に家に行って、ゲンに会ってきた。
ゲンは息が荒く完全に寝たきり、頭を持ち上げてもダランとしている。
CBさんも覚悟ができているようだった。
頑張れよって声をかけて別れた。
そして火曜日の朝にまたCBさんに会ったので様子を聞くと、月曜日の夜に亡くなったとのことだった。
CBさんは努めて明るい顔をしているようで、それが逆に辛かった。
亡くなったのは奥さんが仕事から帰った直後で、家を出て独立している息子さんも帰ってきていたので家族全員で見送ることができたという。
考えてみればパルちゃんみたいに何年も夜鳴きをしたりしなかったし、亡くなるときも苦しんだのはほぼ1日だけだし、最後が本当にいい子だった。
奥さんは遺灰を残したいというので、火葬は業者にお願いすることになったという。
こうしてパルちゃんと友達だった犬がまた1匹逝ってしまった。
そして今日、たぶんペットを焼く車が来ていた。
家族でお別れをしているようなので俺はテレワークしている部屋からそっと見ていた。
さよなら、ゲン。
合掌。
