市場を歩いていると、つんつんと肩を叩かれました。それで振り返ると笑顔の綺麗な女性です。これはついにこの僕にも幸運の女神がやってきたのかもしれない。ならば前髪を掴むのみ、と
「何でしょう?」と精一杯の笑顔でタイ語で答えると
「あっ? 違う・・・すみません」
と、あっけなくそのタイ人女性は踵を返してしまったのです。
実はこんなことがここ数年何度かあったのです。タイ人に間違われる日本人は意外といるかもしれません、中国系に近い顔立ちならば。しかし僕の場合にはタイ人の特定の誰かで、間違われた状況を考えるとその誰かは僕と顔と体つき、服装も似ていて年齢も近いらしいのです。
どんな人なのか興味津々ではありますが、場合によっては人違いで殺人などのトラブルに巻き込まれかねない危険な状況なのです。 そういうわけでまだ見ぬ誰かの品行方正な生活とその成功を常々祈っていますが、しかし考えてみると彼の方こそ品行方正とはいえない僕に間違われて多大な迷惑を被っているのかもしれません。
すみません、まだ見ぬ誰かさん。