伊藤忠参加でバイオエタノール工場建設、神戸製鋼は鉄鋼プラント事業認可得る | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 3月中旬に、南部ベトナム・カンボジア国境近くビンフオック省でバイオエタノール工場の建設(投資額8000万ドル)が起工しました。この工場では年間24万トンキャッサバを使用して年間1億リットルのバイオエタノールを生産する計画です。生産されたバイオエタノールはベトナム初の石油精製所のズン・クアット石油精製所(中部ベトナム)で精製した石油化学品と混合して市場に出回る予定。

 このバイオエタノール工場は伊藤忠商事グループなど4社による合弁事業で、伊藤忠の株式持分は49%となります。その他に国営企業のペトロベトナム(ベトナム石油・ガス総公社)が29%、第16リコジ(LCG)が22%の株式を保有します。オリエントバイオ燃料(QBF)も株主として合弁事業に参加。工場は21ヶ月後に竣工する計画です。

 バイオエタノールにはエンジンなどの使用耐久期間を長くし、環境に優しいというメリットがあります。副産物の二酸化炭素他はメッサーグループ(ドイツ)に売却し、メッサーグループでは1日当たりドライアイス70トン生産する工場を建設する計画です。また、ペトロベトナム化学肥料(DPM)も使用済みキャッサバ他を利用して肥料生産工場を建設する計画。

 一方、神戸製鋼所(5406)は4月2日、最大1,000億円となる鉄鋼プラント事業の認可をベトナム政府から得たと発表しました。北中部ゲアン省ホアンマイ工業団地に建設する計画です。今後、詳細な事業化調査を行い、早ければ来年1月の着工を目指しています。

 神戸製鋼本社広報部によると、「政府認可は3月31日に出たが進出は正式決定ではなく、今後の調査で決める」とのことです。

 神戸製鋼が自社開発した新製鉄法を使用し、高炉では使いづらかった純度の低い鉄鉱石や一般炭を原料として利用。独自の粒鉄(アイアン・ナゲット)と呼ぶ団子状の鉄を生産します。粒鉄(製品)は電炉メーカーに鉄スクラップの代替品として販売されます。

 ベトナムでは小規模な電炉メーカーが多いことに加えて、国際的に鉄スクラップの価格が上昇していることから、需要が期待できます。同社では北中部ハティン省のタッケーの鉄鉱石を使用する予定です。新製鉄法の1号機は今年1月に米ミネソタ州で稼働したばかりで、ベトナム事業が実現すればベトナムが第2号機となります。

 ベトナムは工業化ではタイには遅れをとっていますが、カンボジアよりはずいぶん先を行っているようですね。