現在のホーチミン証券取引所(HOSE)の取引時間は午前中のみ(現地時間午前9時から午前11時)です。しかしながら、国家証券委員会(SSC)は今年中にHOSEの取引時間を午後(現地時間で午後1時から2時半)にまで拡大する構えをみせています。
SSCはホーチミン証券取引所(HOSE)の後場取引を開始することによって、証券取引時間を午前から午後にかけて行う国際標準に合致させて、国際機関投資家など大口投資家がベトナム株に投資しやすくすることを狙っています。また、同時に証券市場の流動性向上を狙います。SSCでは、「HOSEの取引システムのアプグレードが完了すれば、今年中に後場(現地時間で午後1時から2時半)の取引が可能になる」としています。
SSCは後場取引を開始する明確な時期を明らかにしていませんが、取引所関係者によると「第2四半期中にも後場取引を開始する可能性がある」との見方が多くなっています。地元紙によると、SME証券のタン副社長は「後場取引を開始すれば証券市場の流動性が向上し、ファンドや法人投資家などの大口投資家が資金運用をしやすくなる」とコメントしています。また、同副社長は、「後場取引を始めることは国際慣行に沿う動きの一貫だ」と肯定的に捉えています。
2009年のベトナムでの新規証券口座開設数は79万3000口座です。これは2008年比で50%の急増になります。一方、2009年末の外国人の証券口座数は海外法人が合計1149口座、海外個人投資家が合計1万2439口座となっています。これは、つまり、国際的にベトナム株の注目度が増しはじめていることを示しています。例えば、最近ではジョージ・ソロスのファンドもベトナム株に注目していると報道されています。
ベトナム証券市場は、2008年以降の世界的な金融危機と株式市場の急落によって新規上場(IPO)や国営企業の民営化などが政府計画よりも遅れています。2009年初の相場低迷時には証券市場の売買代金は2008年の60%程度に低迷しました。しかし、2009年後半には株式市場は急騰に転じ、売買代金平均は2008年の3倍に相当する一日当たり2兆5000億ドンに達しています。
今年は、多数のIPOや銀行の増資など証券市場を通じての大量の資金調達が予想されています。そうした資金調達には証券市場の流動性向上が不可欠です。今回の後場取引開始はそれに連動した動きとも云えると思われます。更に、もっと大きな視点からみれば、いよいよベトナム市場がローカル市場から国際的な新興市場へと羽ばたく時期を迎えたとも云えるのではないでしょうか。ベトナム市場はこれから(未来)の市場です。