グローバル同時不況・・現状は1929年か30年か31年か。 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 本日のバンコクポスト紙によれば、本年末までにタイ地方部工場勤務者の1割が失職をするとの予測がでているようです。本年5月から年末までで、タイ地方部工場勤務者総数およそ30万人の内、27工場で3.1万人が失職予想。その内のほとんどは電子部品工場勤務者。地方部工場の受注は半減。隣国へ生産工場をシフトする動きもあるようです。

 また、ホンダの現地法人APホンダが昨日(11日)発表した国内バイク新車登録台数(11月)は、前年同月比3%減の12万5,323台でした。マイナスは10カ月ぶり。

 PAD(民主市民同盟)によるスワンナプーム空港封鎖で懸念された観光業への影響も目立ってきています。タイ国家統計局のタナヌツト局長によると、「空港封鎖の影響で国内のホテル従業員25万人のうち21%にあたる5万2000人が失業する」と予測。

 一時の何が起こるかわからないという「緊張感」ではないものの、まだまだタイ政局は不安定そのもの。しかも、東南アジアのハブ空港・スワンナプーム国際空港を封鎖するという「パンドラの箱」を開けてしまったことで、その影響は甚大です。

 仕事を持っている日本人や台湾人などはタイ観光を当面は躊躇するのは自明。万が一、帰国できなくなったら仕事に穴を開けることになりますからねえ。この心理的影響は少なくとも1年程度は続くのでは。

 一方、日本の観光客にとってのグッドニュースは「バーツ安」です。本日午前11時(日本時間午後1時)現在で1バーツは2.59円。自由業で時間の融通が効く方なら、特に航空運賃も安くなる来年1月第2週以降はチャンス。通貨も安くなったタイをはじめ東南アジアへ旅行の絶好の機会です。但し、不況のため・・治安には気をつけましょう(笑・・冗談)。

 もっとも日本をはじめとする東アジアも米国サブプライム震源のグローバル不況の影響が大。台湾中央銀行は昨日(11日)、政策金利を0.75ポイント引き下げました。今年9月25日から4回目の利下げ。また、韓国中央銀行も11日、政策金利を1.00%引き下げて3.00%としました。1%の引き下げは過去最大の下げ幅。いずれも内需刺激のためです。苦しいのはタイだけではないのです。しかし、本当にこれから辛くなるのは「アジア」ではなく「米国」と「欧州」です。

 タイ株式市場については株価急落によりかなりの部分を既に織り込んでいると思われますが、市場に不透明感が強いため、当面の間は底値付近での小動きが続きそうです。少なくとも09年第1四半期の業績を見極めたいところ。

 また、不動産市場についても、永住を決意した方以外(笑)は慎重に対処したほうが良いと思います。今回の金融危機で主に影響を受けたのは「富裕層」です。現状は、実体経済を通じて富裕層以外にも影響がでつつあるところです。SET指数他、世界の株価下落の逆資産効果、所得減少は不動産市場にはネガティブ要因。特に、プーケット、コサムイ、パタヤなどの国際リゾート価格としてバブル値が付いている不動産は今は明らかに買い場ではないでしょう。

 来週はカンボジアへ行ってきます。プノンペン経済特区、カンボジア証券取引所の設立状況などを調査して来る予定です。