(続き) タイ工業団地業界トップ企業・アマタ・コーポレーションを訪問  | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 簡単にアマタ・コーポレーションの株価にコメントしてみたいと思います。

 2008年第3四半期のアマタ・コーポレーションの純利益は前期比13.5%増の3億7300万バーツでした。一方、株価の方は直近6ヶ月間で75%程度の急落となっています。これは、米国サブプライム問題を震源とするグローバル景気後退の影響によるもの。

 グローバル景気後退で設備投資減少(つまり、海外直接投資減)、そして結果として工業団地販売の停滞が今後は予想されます。つまり、今後(少なくとも来年)の業績予想からは同社株への投資はお奨めできません。

 一方で、直近6ヶ月間の株価下落で悪材料はほとんど織り込んだとみることもできます。会社の解散価値と株価のトレードオフを示すPBR(株価純資産倍率)は0.86倍(08年12月9日現在)で株価は解散価値以下で取引されています。

 以上から、業績ではなくバリュー投資として長期投資ならば株価の下値は拾ってみるのも良いのかもしれません。また、材料面ではタイ政府の「エコカー・プロジェクト」が長期的に株価の支援材料となると思います。
 
 とはいえ、グローバル景気後退の自動車産業への影響は大きく、しばらくの間は「投資見送り」が賢明か。ただし、タイだけでなくアジアの工業団地企業「トップ企業」として「ウォッチリスト」には常時入れて監視しておきたい企業のひとつです。

■参考資料
2008年第3四半期 タイ工業団地企業の業績
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アマタ・コーポレーション
純利益(百万バーツ) 373
EBITDA利益率 51.1%
インタレストカバレッジレシオ(倍) 8.3
総資産利益率 12.1%
自己資本利益率 28%

H社
純利益(百万バーツ) 390
EBITDA利益率 31.1%
インタレストカバレッジレシオ(倍) 12.6
総資産利益率 12%
自己資本利益率 22.4%

R社
純利益(百万バーツ) 156
EBITDA利益率 26.9%
インタレストカバレッジレシオ(倍) 3.7
総資産利益率 3%
自己資本利益率 13%