「アメリカが死んだ日」 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 今日のブログのタイトルは「アメリカが死んだ日」という本から取りました。この本は主にジェシー・リバモアという大相場師やジョセフ・P・ケネディー(ジョン・F・ケネディー元大統領の父親)の話などが織り交ぜたものだったと記憶しています。高校生の頃に読んだきりなので詳細は忘れました。実家(日本)の書棚には本はあるのですが・・すみません。

 以下はインターネット上で拾ったジェシー・リバモアとジョセフ・P・ケネディーの話です。

ジェシー・リバモア↓


ジョセフ・P・ケネディー↓


ついでにニューヨークの金融王J・P・モルガン↓


 ジェシー・リバモアは1877年に貧しい移民の子として生まれました。証券会社の黒板書きから身をおこし、1907年には2度の破産から立ち直り100万ドルの資金力を保有。そして、1907年10月、日露戦争後のバブル崩壊相場で大勝負にでます。巨大な空売りポジションを抱えた彼は1907年10月24日(木)の暴落で大儲け。その日の引け後、当時の金融王J・P・モルガンから使者が来ます。...「株を空売りしないでくれ」..と。

 金融王J・P・モルガンの使者からの依頼で「ピン」ときたジェシー・リバモアは、翌日売り気配から始まった相場に空売りポジションの買い戻し注文を入れます。それだけでなく、さらに安くなっていた株を買いあさります。そして相場が底を付けたとみるや、空売りで儲けた資金でさらに買いポジションを拡大。その後の売り方の踏み上げ相場で大儲けします。

 この大儲けした資金も、その後、綿花の買占め投機の失敗で失い3度目の破産をします。そして3度目の復活を経て、大恐慌の序章となった1929年10月24日(暗黒の木曜日)では空売りで再度大儲け、数百万ドルの利益をあげます。

 ところがその後、彼は曲がりに曲がり、結局、11年後の1940年、4度目の破産をきっかけにピストル自殺しました。

 一方、ジョセフ・P・ケネディーはアイルランド系移民の子としてボストンに生まれました。当時のアイルランド系移民は、先発のイギリス系移民から差別を受けていました。

 彼は25歳でボストンのコロンビア・トラスト銀行頭取となり、意気洋々とニューヨークの金融王J・P・モルガンを訪れます(確か融資依頼?かなにか記憶が定かでない)。そしてその時、金融王は彼がアイルランド系であることやマフィアとの付き合いをほのめかしながら彼の融資依頼を一蹴します。この時、ジョセフ・P・ケネディーに米国エスタブリッシュメントに対する一種のルサンチマン(恨み)が芽生えたと「アメリカが死んだ日」には書かれていたと記憶しています。

 その後、彼は1929年10月「暗黒の木曜日」を株式空売りで大儲け。さらに「米国を売る」ショートポジションで大儲けを続けます。彼はF・ルーズベルト政権で駐英大使に任命され、息子は大統領になりました。

 さて2008年、「再び」米国は死にました。株と経済は異なりますから銘柄によっては上昇するもの(例:バブル崩壊後の任天堂など)もあるでしょうし、大きな反騰局面もあるでしょうが、基本的には鈍い動きが長期にわたって継続すると思われます。昨日インターネット検索してみると、ネット上でも「最後の被弾は米国債暴落」という論調の方が多いようです。私も同感です。

 ジム・ロジャース氏にインタビューをした時に彼は「日本は歪んだ低金利政策を止めて市場に任すべきだ」とおっしゃってました。しかし、現在は米国も金利を低く管理をしています。欧州も同様。いつになるかはわかりませんが債券市場は行き詰って急落する時が来ると思います。一体、アメリカが崇拝していた市場経済はどこにいったのでしょうか。

 今回の金融危機は、米国・欧州経済が大きい分とレバレッジ分で、日本のバブル崩壊とは規模が違います。米国政府はどんどん「倒産すべき企業」に資金を注入する方針のようです(しかも、損失がいくらかも解かっていないのに)。これは金利管理と一緒で短期的にはよくとも、長期的には大問題だと思います。

 多分今後、基軸通貨国・米国はドル増刷で対応するでしょう。結果は一時的な反発はあるとしても、長期的にはドルの価値が下落します。

 あくまで私見ですが、今後の最低10年間は「米国からアジアへパラダイムシフトする移行期間」となるのが現在の私の予想です(当ったっても全然嬉しくないですが...)。

 本日は円安ですが、長期的には円高・人民元高とみます。アジアには中国と関係の深い国・企業も多い。しかも日本のように「規制が強く」て「税金の高い」年取った国ではなく、若い国です。

 また東南アジアの中心国であるタイは、歴史的に外交上手で定評があります。これから先、朝鮮半島動向や日中関係も新展開をする可能性がありますし、東南アジア動向も眼が放せません(中国圏化する可能性があると思っています)。そういう国々の企業などを今後も見ていけたらと思っています。

 まだまだ先は長い。ジェシー・リバモアは何度も破産していますが復活しています。逆に言えば、一旦破綻しないと復活できないのかもしれません。気が重いですね。