上場企業経営者も多数登場、「タイの大富豪ランキング」4~7位 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 11月7日のブログ「タイの大富豪ランキング」の続きです。

 米国のフォーブス誌発表「2008年版タイの大富豪(Thailand’s 40 Richest)」の第4位はCP(チャルーン・ポーカパン)財閥」の総帥タニン・チアラワノン氏(69歳)です。

 「CP財閥」はタイ最大の財閥。食品・飼料事業(チャルーン・ポーカパン・フーズ、CPF)を数10カ国で展開するほか、コンビニ事業(CPオール、CPALL)、通信事業(トゥルー・コーポレーション、TRUE)、不動産事業(CPランド、非上場)などを手がけています。中国へは1980年代から積極的に投資を開始。オートバイ生産、小売り、食品、金融などに進出しています。

 タニン・チアラワノン氏はCP財閥の事実上の創業者。彼は潮州出身の華僑で、中国名は「謝国民」です。またCP財閥は漢字では「泰国正大(チアタイ)集団」と書き、中国最大の外資系企業となっています。

 同氏は今年1月に中国政府が設立した「中国僑商投資企業協会(COCEA)」の初代会長に選出されました。COCEAは(中国本国以外の)華僑系企業の業界団体で、各国の著名な華人実業家200人以上が参加しています。

 一時は「アジア通貨危機」で経営が傾きかけましたが「新宮沢プラン(1998年)」により復活を遂げました。フォーブス誌掲載の推定資産額は20億米ドル。

 第5位はテレビ局チャンネル7を運営するバンコク・ブロードキャスティング社のCEOで「ラナタラック(李)財閥」総帥クリット・ラタナラック氏(62歳)の一族。亡父チュアン氏(中国名「李木川」)氏が創業したアユタヤ銀行(BAY)、サイアム・シティ・セメント(SCCC)の株式を大量に保有。2007年前半までアユタヤ銀行の頭取でした。彼はラタナラック(李)家資産の約半分を保有。残り半分は母、姉妹、息子が保有しています。離婚暦1回で子供は1人。フォーブス誌の推定資産額は10億米ドル。

 第6位はプラニートシルパ・ワチャラポン女史(76歳)。夫で故人カムポン氏がタイ最大手の新聞社で大衆紙の「タイラット」を創業。同女史は同社株式の38%を保有する最大株主です。子供は4人。息子サラウット氏は同紙の編集長、娘のインラク女史は社長で、おのおの28%の株式を保有しています。
 
 「タイラット紙」は2001年当初はタクシン元首相を支持。その後、2005年あたりからタクシン政権に懐疑的な論調となり、2006年4月にはタクシン元首相の辞任を歓迎する報道へと変化しました。フォーブス誌推定の資産額は9億4000万米ドル。

 第7位はウィーチャイ・マリーノン氏(90歳)。38年前に「BECワールド」を創業。現在、BECワールド(BEC)はタイ有数の巨大メディアグループで、テレビ局「チャンネル3」・ラジオ局「バンコクFM」ほかを運営しています。中核企業のBECワールドほか子会社23社、関連会社4社から成り立っています。同氏は90歳の現在もBECワールドの会長。子供は7人でその内5人がBEC社の役員となっています。フォーブス誌の推定資産額は8億8000万米ドル。

 この辺で止めておきます。最後に、タクシン元首相(58歳)の一族は推定資産額4億米ドルで第16位ですが、現在凍結されている資産約20億米ドルを加算すると第4位となります。

 中国系タイ人が目につきますね。「Wikipedia」によると、タイの民族構成はタイ族75%、華人14%、その他マレー系、インド系、モン族、カレン族他となっています(個人的にはこの数字は怪しいと思いますが…)。タイにおいて中国人(華人)を自称する人は700万人程度とされますが、中国人の血統を引いていても自ら中国人(華人)と自称しない人の数はそれを遙かに凌ぎます。

 バンコクには世界最大と言われる大規模な中華街(チャイナタウン)もあります。華人のタイへの同化(?)と経済・政治力の掌握には驚くべきものがあります。でも…そもそもタイ族は「中国」・雲南省からインドシナ半島へ南下してきた民族なんですよね。欧米ではタイ人は「日焼けしたチャイニーズ(suntanned Chinese)」と呼ばれています。