韓国ウォンは、ここ10年来の安値を付けている | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 昨日(19日)、韓国政府は「1300億米ドル以上を拠出する金融市場救済・安定化策」を発表しました。この金融市場救済・安定化策は(韓国の)金融機関の海外債務保証、金融機関への公的資本注入、および短期金融市場への流動性の供給などを含むものです。

 現在、韓国(経済規模でアジア第4位)は世界的な金融不安のなか信用収縮(credit crunch)の荒波に襲われています。韓国の地銀、都市銀行はドル建て債務の返済に汲汲とし、韓国通貨ウォンはここ10年来の安値を付けている惨状です。

 韓国・財務大臣は「我々は金融市場安定のため、各国と協調して徹底的な手段にでる」と表明。これは韓国の1990年代終わりの金融危機への対処と対照的です(というか90年代終盤の金融危機に当時の韓国は手の内ようがなかっただけなのですが)。

 1990年代の終わりの金融危機に韓国はほとんど政策を出さず、回復を「市場の手」に委ねました。その結果、「痛み」は伴ったものの、驚くほどの短期間で韓国経済は復活しました。しかし韓国は今回、このときとは全く逆の方向で、現在の金融不安に対処しようとしてるようです。だからもし「歴史から学ぶ」なら、韓国経済は「90年代日本の失われた10年」のように、これから長期間重い足枷を付けた状態になる恐れがあると思います。

 1990年代バブル崩壊後に日本政府は倒産すべき金融機関に公的資金を注入し続けました。その結果、18年後の今も日本経済はバブル崩壊の影響を引きずっています。これと同じことを繰り返すのか、それとも違った展開になるのか? 「韓国の実験」に注目していきたいと思っています。