実にインド映画らしい素朴な人々が描かれている作品。シンプルながらも明快かつ深い感情を込めてメッセージを伝えてくる、それもインド映画らしいと言える作品。
警察がいかにも分かりやすい悪者であることもインド映画らしい。なにしろ取り調べで殴る蹴るの暴行を行って被疑者が死んでしまうということが、状況としてさらっと描かれていることに「インドの人は違和感を覚えないんだ」と感じてしまった。そして、その悪者として描かれる警察にも、いい人がいるというのも分かりやすい設定。
作品はユーモアを交えながら、思いやりと優しさこそが私たちを真に結びつけるものだと、優しく語りかけている。そしてその本質的なテーマは、「情けは人の為ならず」という善い行いは必ず自分に返ってくるというもの。
この作品がよく出来ているのは、主人公一家が善良な人たち(息子2人がいいキャラ)とこれでもかと描きながら、「この後必ず困難な状況が待っている」と思わせながら物語が進展する流れ。
この作品は、スリランカから不法入国した家族がインドで人々に受け入れられるストーリーで、タミル語が使われている。インドは数多くの方言が使われる多言語国家で、タミル語は南部で使われる方言であり、全人口の約6%が使う言語。スリランカではタミル語は公用語の一つだが(もう一つの公用語はシンハラ語)、インドでのタミル語とは若干言葉使いが違うということが笑いの要素であり、かつオチにつながる重要な要素。その「おかしさ」は、タミル語を理解しない日本人には伝わりようもないのだが、字幕の言葉使いに苦労が伺われ、それは功を奏していた。
分断が蔓延する世界においてこの作品は、
★★★★★★★ (7/10)
