『ランダム 存在の確率』 (2013) ジェームズ・ウォード・バーキット監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

2015年「未体験ゾーンの映画たち」(ヒューマントラストシネマ渋⾕で毎年開催される東京テアトル株式会社主催の劇場発信型映画祭)で公開された作品。と、言えばこれがビデオスルーの小品ながら、バイヤーの目に止まった作品だということが分かる。

 

ミラー彗星が地球に最接近する日、8人の男女がホームパーティで彗星にまつわる奇妙な出来事の話題で盛り上がっていた。すると突然、停電になりパニックに陥る8人。不安に思った彼らは、数ブロック離れた唯一明かりのある隣家の様子を見に行くことに。しかし、彼らが目撃したのは、全く同じ家に住む、全く同じ自分たち。それから次々に起こる不可解な現象に戸惑う8人。彼らはやがて異次元の自分たちが、同じ空間に同時に存在するという驚愕の事実を知る。

 

実によく出来たSFホラー。ただそれはアイデアだけで、SF的な特殊映像は全くない。登場人物も8人のみ。場面もほぼ家の中のみ。超低予算でもこれだけ楽しめる作品を作ったことはあっぱれだろう。こうしたアイデアで引っ張る作品は、エンディングがあまりにショボいことが少なくないが、この作品はエンディングもなかなかよく出来ていた(勿論、突っ込むところはあるが)。

 

最近流行りのマルチバース物を先取りするかのようなパラレルワールド物だが、原題は『Coherence』。日本語訳は「可干渉性」となる。なるほど。物質と反物質が衝突すると対消滅するんじゃなかったっけと、映画を観ながら思っていたが、タイトルで「この作品での設定は『パラレルワールドの自分に干渉できる』んですよ」という意味だったかと理解した。映画の中で、自分たちが置かれた状況を推測して「映画『スライディング・ドア』のようなものじゃないかしら」というセリフがあったが、邦題はそのイメージでつけられたものと想像する。微妙に違う気がするが、『可干渉性』と直訳してもよく分からないのでまあよしとしよう。

 

会話劇とあって映像的に動きが少なく、リアリティショーのような雰囲気もあるB級作品だが、ハマる人にはハマるだろう。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『ランダム 存在の確率』予告編