『イースター・パレード』 (1948) チャールズ・ウォルターズ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

ブロードウェイのスター・ダンサーであるドン・ヒューズ(フレッド・アステア)は、パートナーのナディーン(アン・ミラー)をブロードウェイの大物プロモーターに引き抜かれてしまう。ヒューズは「ナディーンの成功は自分が教えたからであり、誰でもナディーンのように育て上げることができる」と彼女を見返すために、酒場のダンサーのハンナ(ジュディ・ガーランド)を新たなパートナーとする。しかし、ハンナは歌手が本業で、ダンスに関しては素人同然だった。

 

MGMと契約していたフレッド・アステアだったが、この映画製作開始には引退を表明していた。キャスティングされていたのは、当時「ポスト・アステア」としてMGMの看板であったジーン・ケリー。彼が撮影期間中にプライベートで怪我をし、直接ジーン・ケリーが代役をアステアに依頼して交替となったもの。アステアの復帰作となる作品。

 

ジュディ・ガーランドとフレッド・アステアという2大スターの共演だが、アステアのダンスを観たいファンとしては若干物足りないもの。ガーランドの強みは本作の設定通りやはり歌であり、彼女が単独で出ているシーンだけではなく、アステアと二人で出ているシーンもダンスは控え目。あの優雅かつスピード感ある「ラン・アラウンド」はこの作品では見られない。

 

アステアのパートナーとしてはやはりジンジャー・ロジャースなのだが、この作品に出演しているアン・ミラーの方が踊りだけで言うなら上かもしれない。作品の終盤、成功を収めたドン&ハンナのショーのオープニングを祝すためにディナーに訪れたレストランでナディーンのショーがあり、そこでナディーンに乞われてドンと二人で踊る「It Only Happens When I Dance with You」が ダンスだけで言えば、この作品の中ではベスト。身長175cmのフレッド・アステアだが、アン・ミラーが大柄であったため、このダンス・シーンではアン・ミラーがバレーシューズを履いて踊っているのが分かる。

 

アステアのシーンも、歌を中心にしたソロパートがあったり、劇中のショーの中で複数のダンサーと踊ったり、それに加えてガーランドをからめて色々なパターンで歌や踊りを見せるが、若干盛り込みすぎで、やはりアステアはRKO時代のモノクロの作品の方が味わいがあると感じる。

 

★★★★★ (5/10)

 

『イースター・パレード』予告編