『SCOOP!』 (2016) 大根仁監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

予告編とキャスティングから、テレビ・ドラマっぽい印象を受け食指が動かなかった映画。『モテキ』『バクマン。』の大根仁監督でなければ観なかったであろう(『モテキ』は振り向かれなくても一途に愛を貫けばいいことある的なストーカー奨励の展開と麻生久美子演じるるみ子が痛すぎて難があるが、『バクマン。』は文句なく面白い)。結論から言えばよかった。というか、とてもよかった。

 

しかし、福山雅治は役者として不思議な存在感がある。彼の演技は『そして父になる』で観ているが、『そして~』では押さえた印象。それに対し、この作品ではより地が出ている。そして地が出るほど、大根であることがよく分かる。しかし大根は大根でも、日本で一番美味しい大根くらい味がある。作品の初めでは、あまりのくさい演技に少々鼻白んだが、彼の不思議な抱擁感に最後は気持ちよくさせられてしまった。彼がなぜ人気があるのかが分かった気がした(ちなみに、私の妹夫婦は夫婦して筋金入りの福山の追っかけ)。

 

この作品では、福山のほかに主要な役者が二人いる。リリー・フランキーと二階堂ふみ。二人ともそれぞれの魅力を遺憾なく発揮していた。リリー・フランキーはまさに怪演。数多い彼の作品の演技の中では、『ぐるりのこと。』のナイーブな心優しい男の役が好きなのだが、この作品では、『凶悪』をはるかに上回る(あの作品でもすごかったが)イッちゃってる役を演じている。この役はリリー・フランキーしかできないであろう。

 

二階堂ふみはスクープ誌の新人記者の役。同じ出版社の主婦向けファッション誌から配属替えで来た初日の挨拶に、ロリポップキャンディをくわえて登場した時には「あちゃー」と思った。『渇き。』でのブッキーと同じく、この小道具のステレオタイプな効果はいかがなものか。しかし、その後の新人記者らしい怖いもの知らず&福山演じる都城静との純真な恋人の演技はさすが。『ヒミズ』『私の男』を観ていた頃ほどの思い入れはなくなったが、やはりいいなあと思わされた。

 

というように、『モテキ』や『バクマン。』と比べると、役者の魅力に随分寄りかかった作品と言える。ショッキングな展開に、一番印象は強いのだが。あと、風俗ギャグがきつ過ぎな感じ。敢えて順序をつければ、『バクマン。』>『SCOOP!』>『モテキ』か。

 

福山ファンでなくとも観る価値大。福山ファンなら観なければ嘘という作品。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『SCOOP!』予告編